更年期障害の治療において大切なことは、まず「元気になった!」という実感のある時間を出来るだけ長く過ごしてもらうことです。
漢方療法であれば、季節によってその種類を変えたり、「肩が凝る」といった症状が現れる時に合わせて飲み方を変えてみたりします。
このようにして、自身の身体を上手にメンテナンスすることが重要です。
このセルフメンテナンスが上手くコントロール出来ていれば、更年期障害は治ったと考えても良いでしょう。
一方、ホルモン補充療法(HRT)を始めたら、いつまで続けなければいけないのでしょうか。
一般的には、1年間は続けてみることが推奨されています。
更年期特有の女性ホルモンの「ゆらぎ」状態にある場合、ある程度の補充が必要です。
補充を続けていって、「そろそろいいかな」と思ったら、急に止めるのではなく、ゆっくりと補充量を減らしていって止めていきます。
ホルモン補充療法を5年以上続けた場合、乳がんの発症リスク因子を持っている人では発症の確率が上がると言われています。
また、脳卒中の既往のある人や高血圧の人の場合も、ホルモン補充療法によってリスク因子が上昇すると言われています。
したがって、ホルモン補充療法を行う場合は、5年が経過した時点で治療を見直すことが必要となっています。
しかし、ホルモン補充療法は「何年続けたから治る」と決まっているものではありません。
1年で楽になる人もいれば、10年程度続けていってそれ以降にやっと元気になる人もいます。
どの程度継続すれば症状が改善されるかは、その人を取り巻く社会的環境因子などに大きな要因があると考えられています。
女性は、性成熟期には月経困難症やPMS(月経前症候群)など月経に伴うホルモンの波によって、様々な障害が起こります。
この時期からかかりつけの産婦人科医を持ち、生活習慣などを含めた相談が出来ていると、更年期や老年期などに起こってくる、今後の可能性を含めた治療について話すことができます。
トータルケアの相談相手として、かかりつけの産婦人科医を見つけることは、女性の一生において非常に重要です。
ライフパートナーのようなかかりつけ医が一人いることで、少しの環境変化であれば慌てずに対処することができます。
産婦人科医ではなくても、女性特有の問題についてよく理解している医師を見つけると良いでしょう。
更年期の少し前から、卵巣ホルモンの不調・変調によって何らかの症状が起こる場合がありますが、これは更年期症状として扱います。
身体にエネルギーを蓄えなければいけない時期に蓄えることが出来ないまま成人になった人は、早い時期から更年期症状が現れる傾向にあるようです。
このようなケースに対応する治療法があるため、「更年期じゃないから、治療できない」と思わずに、まずは医師に相談してみましょう。
更年期の諸症状に対応するためには、早い時期から身体作りなどに注意しておくことがベターです。