骨粗鬆症の治療では、一度骨折した人や骨折のリスクが非常に高い人に対しては、ビスホスホネート製剤やデノスマブ製剤を処方します。
これらの薬は、骨を破壊する「破骨細胞」の働きを抑制し、骨の成分を吸収するスピードにブレーキをかけるような働きを持っています。
内服タイプと注射タイプがあります。
デノスマブ製剤であれば、半年に一回の皮下注射でOKです。
また、骨が破壊されるのを抑制するのではなく、逆に骨を作るのを促進する薬として、骨形成促進剤「PTH製剤(テリパラチド)」があります。
この薬には、自分で毎日、皮下注射をするタイプや、週に1回、外来で筋肉内注射をするタイプなどがあります。
高齢で骨の溶けるスピードが速くなっているケースでは、ビスホスホネート製剤が第一選択肢として選ばれます。
骨粗鬆症の予防は、まず何よりも運動することです。
その中でも、荷重負荷のかかる運動が推奨されています。
歩くのであれば、しっかりとした作りの靴を履いて、足を踏みしめて歩けるような状態を作ることが必要です。
例えば、「かかと落とし」というエクササイズは、大腿骨に対しての刺激があります。
また、水中ウオーキングは、関節に負担をかけずに筋肉をしっかりと使える運動として推奨されていますが、「水圧をかけながら足を伸ばす」といった方法が効果的です。
次に挙げられる予防法は、食事でカルシウムをしっかりと摂取することです。
カルシウムは小魚や乳製品に多く含まれています。
さらに、ビタミンK ・ビタミンDの摂取も重要です。
ビタミンKは緑黄色野菜や納豆に多く含まれていますが、ビタミンDは日光浴での吸収がほとんどとなります。
つまり、骨粗鬆症の予防としては、外で歩きながら日光浴を行うことで、荷重負荷をかけながらビタミンDを吸収することが推奨されます。
運動と食事の2点をまず意識することで、徐々に「内容を考えて食事を摂る→運動をさらに頑張る」という良い循環を作り出すことができます。
逆に、運動をしなくなると、「食事がうまくとれなくなる→栄養が不足→動かなくなる」という悪循環に陥ってしまいます。
これを「フレイル(虚弱)」、「ロコモティブシンドローム」と呼びます。
身体を動かさないことによって起こる様々な不都合のことです。
フレイル状態からの脱却には、しっかりと運動すること・食事を摂ることが重要です。
これによって、良い循環状態を作り出すことが、骨粗鬆症の一番の予防法となります。