乳がんの治療薬の1つに、「アロマターゼ阻害薬」という薬があります。
枯渇状態にしてエストロゲンを身体に残さないようにする、非常に強力な治療薬です。
この治療薬を使用すると、副作用として骨の量が急激に減少するということがあり、これによって骨折が起こりやすくなります。
したがって、現在アロマターゼ阻害薬を使用する乳がん患者さんに対しては、骨粗鬆症の治療を開始することが推奨されています。
一方、乳がんは骨に転移しやすいという特徴がありますが、骨折予防のために骨粗鬆症の治療薬を使用している乳がん患者さんで、骨転移を予防・再発も予防できた、という最新の研究報告が上がってきています。
この特徴をどのように利用していくか、という点に今注目が集まっています。
女性は、生まれた時から、性成熟期、更年期~老年期までの長いライフステージの中で、女性ホルモンが密接に関わっています。
これを一つ一つのライフステージの縦割りではなく、横軸で見ていくのが、予防医学的観点です。
そして、それを見据えた上で、先々に起こりうる様々な事情に対して、それに困らないために現在できる治療を提案できるのが、女性医学のアプローチです。
婦人科医師の中には、女性医学のスペシャリストがいます。
日本女性医学学会から「女性ヘルスケア専門医」も出ています。
そのようなライセンスを保持している医師を探して、ライフステージの節目節目に相談するのは良い方法です。
また、かかりつけ医を持つことも女性のライフステージの変化において重要です。
色々なことをトータルで相談できるかかりつけ医を持ち、心身に気をつけながら、エネルギーを蓄えていくことを意識すると良いでしょう。
現在のご自身の生活を見直してみて、「頑張りすぎているな」と感じることはないでしょうか。
日本人女性はみんな非常に頑張り屋さんです。
そして、加齢とともに出来なくなって当たり前のようなことにも「なんで 今まで通りに出来ないのだろう」と悩んだり、自分を責めたりしてしまう人が多いように思います。
「頑張らなければいけない!」と思いつめてしまう人も多くいます。
頑張りすぎた結果、疲労が限界に達した時に初めて、ご自身の色々な身体の不調に気付く、というパターンが多いのです。
まずは、自分自身の身体作りを楽しんで行なってほしいなと思います。
そして、身体の不調がたくさん出てきてしまった時、「誰に相談すればいいの!」「どうすればいいの!」と迷った時には、女性ヘルスケア専門医に相談してみてください。
婦人科はもちろん、内科医の中にも女性ヘルスケア専門医がいます。
この人たちを味方にして、自分の人生を元気に楽しく過ごして頂くことを期待しています。