脳卒中とは、脳の血管が閉塞または破れることにより、脳が障害を受ける病気です。
異常の種類により脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つに分類され、それぞれに治療法も異なります。
脳梗塞に対しては、早期入院ができればtPA治療が用いられます。
血栓を溶かす薬を静脈注射して行う治療法です。
太い血管が詰まり薬だけでは血栓を溶かすことが難しい場合には、カテーテルによる血栓回収療法で血管を再開通させることもあります。
脳出血では、血管破裂の原因となった高血圧をしっかりと低下させることが重要です。
出血により脳組織が圧迫され意識障害など強い症状が現れている場合には、手術で頭を開き、外科的に血腫除去を行います。
現在は神経内視鏡手術が発達し、適応がある場合にはより低侵襲で血腫を除去することもできるようになってきました。
くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂により脳全体に出血が広がる重篤な病気です。
くも膜下出血に対しては、従来は手術で頭を開き、脳動脈瘤を金属製のクリップでつまむクリッピング術がメインで行われていました。
現在はカテーテルを用いて低侵襲に行うことができるコイル塞栓術も用いられるようになり、病変の特徴によって使い分けています。
脳卒中によりもたらされる後遺症は、障害部位や重症度により全く程度が異なります。
・意識障害が残り呼びかけても目を開けない状態になる・記憶障害や注意障害、遂行機能障害といった高次脳機能障害を生じる・半身に麻痺を生じ、運動制限が起こる・言葉がうまく話せない・理解できない、失語という症状が残る
これらの後遺症は、社会生活を送ることを難しくし、QOLを低下させ、健康寿命を縮めることに直結しかねません。
脳卒中において、発症を未然に防ぐ一次予防と、再発を防ぐ二次予防、機能を取り戻すためのリハビリテーションがいかに大切か、認識しておきたいところです。
発症直後に運ばれる急性期病院では治療が行われますが、そこで行えるリハビリテーションには期間にも内容にも限界があります。
後遺症の影響を少しでも少なくするために、急性期治療が終わった段階でなるべく早く、設備の整った回復期病院へ移り、集中的にリハビリテーションを開始することが重要です。
リハビリテーションは 理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が中心となって行います。
現在では、患者さんの意思に沿って運動をアシストするリハビリテーション支援ロボットも数多く導入されるようになってきています。
意識障害や失語症がある患者さんには積極的なリハビリテーションが難しい現状もありますが、拘縮予防などの観点からも、どんな患者さんに対してもリハビリテーションは必須です。