くも膜下出血は脳組織のすき間に出血が起こる病気です。
その頻度は日本人では欧米人よりやや多いことが報告されており、本邦では年間人口10万人につき20人が罹患するといわれています。
予後は非常に不良の疾患であり、40%が死亡、30%が高度の障害が残り、30%が社会復帰するとされています。
くも膜下出血の原因は、脳動脈瘤という脳の血管にできるコブからの出血が原因となる事が多いです。
他、外傷性や病気であれば脳動静脈奇形(AVM)も原因となります。
症状として一番典型的な症状は突然の激しい頭痛であり、ハンマーやバットで殴られたようなこれまで経験したことがない激しい頭痛と表現されることが多いです。
また、頭痛に伴い吐き気や嘔吐を伴う場合もあり、重症例では意識消失をすることもあります。
破裂した動脈瘤はカサブタで一時的に止血されますが、もう一度出血をすると致命的になるため、搬送するまでに再出血をさせないことが重要となります。
脳梗塞では1分でも速く病院に到着する方が良いとされますが、くも膜下出血ではそうとは限らず、それよりもできるだけ再出血をさせないように安静にそっと搬送する事が重要です。
病院到着後、まずは頭部のCTスキャンを行い、ほとんどの場合それでくも膜下出血か診断することができます。
診断後は出血源の検索が必要となるため、造影CTや脳のカテーテル検査を緊急で実施します。
脳動脈瘤の再出血は致命的になるため、まずは再出血を防ぐことが治療のゴールになります。
そのためには2つの治療方法があり、ひとつは開頭手術のクリッピング術、もうひとつは血管内治療であるコイル塞栓術です。
クリッピングでは脳動脈瘤の根元で血流を止めるため、完全に動脈瘤内部の血流は遮断されます。
コイル塞栓術は、動脈瘤内にコイルを充填して動脈瘤内部の血液を完全に固めてしまう必要があります。