くも膜下出血のリハビリと再発予防、そして新しい取り組みについて

くも膜下出血は重症化・死亡の危険が非常に高い疾患です。 急性期の治療後にはどのような対応が必要となるのか、再発リスクがどのくらいあり、予防のためにはどのようなことに注意が必要なのか、そして循環器病センターでどのような新しい取り組みがなされているか、と言う点について、国立循環器病研究センター脳神経外科の片岡大治先生に教えて頂きました。

 

リハビリと社会復帰への支援状況

 

 

くも膜下出血は脳が何らかのダメージを生じて脳の症状を呈することが多い病気であるため、急性期の治療後に、回復期リハビリテーション病院でリハビリが必要なケースは少なくありません。

 

リハビリによって症状が改善すれば社会復帰できますが、くも膜下出血を発症された方が社会復帰できる確率は30%程度と言われています。

社会復帰支援については各病院のケースワーカーや、2020年より設置されることになった各病院の脳卒中相談窓口が支援を行っています。

 

 

くも膜下出血の再発・予防

 

 

くも膜下出血の場合、治療しなければ最初の1か月の再発率50%と非常に高いですが、きちんと治療を行った場合には最初の1年後の再発率はクリッピング術の場合0%、コイル塞栓術の場合0.16%程度とされます。

治療後10年という長い期間を見ても、クリッピング術の場合で0.49%、コイル塞栓術で1.56%程度と、ほとんど再発しない病気である事がわかります。

 

くも膜下出血の再発と予防

 

くも膜下出血自体の再発は少ないですが、その原因となる脳動脈瘤が再発することはあります。

特にコイル塞栓術の場合、10-20%の方に脳動脈瘤の再発が生じるといわれています。

 

退院後は再発していないかを確かめるために、定期的に通院して検査を受ける必要があります。

一般的に喫煙高血圧がくも膜下出血の危険因子として知られています。

喫煙者の場合には禁煙し、また血圧が上がらないように塩分を控え適度に運動を行う事が再発予防のために大切となります。

 

 

循環器病センターにおける取り組み

 

 

循環器病センターでは、通常のクリッピング術・コイル塞栓術が365日・24時間実施できる体制をとっています。

 

それだけではなく、通常のクリッピング術・コイル塞栓術では治療困難な脳動脈瘤に対しても、最新のデバイスを用いた血管内治療を行っています。

例えば、フローダイバーターと呼ばれる目の細かいステントを血管内に留置して、従来の方法では治療困難な大きさの動脈瘤を治療するといった手術を行っています。

他にも、パルスライダーという新しいデバイスを用いると、従来はコイルを充填することが難しい動脈瘤に対しても、コイルを十分に充填して治療することが可能となっています。

 

最新のデバイスを用いた血管内治療

 

クリッピング術・コイル塞栓術だけでは治療が困難な動脈瘤も数は少ないですが存在しており、そのような治療困難な脳動脈瘤や他の脳血管疾患の治療に際して、循環器病センターでは手術もカテーテル治療も同時に行えるハイブリッド手術室もあるため、治療困難な病気の処置も行っています。

 

循環器病センターのハイブリッド手術室

 

 

 

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