脳卒中発症後は後遺症の影響を少しでも少なくするために、リハビリテーションが必須です。
しかし、現在の国の制度上、以下のような問題があり、急性期・回復期・維持期という段階を踏んだ十分なリハビリテーションを、すべての患者さんには行えていない現状があります。
・回復期リハビリテーション病院へ入院するためには、自宅復帰を見込めることが条件となっており、重症の患者さんは療養病院や施設へ行かざるを得ない・回復期病院でのリハビリテーション後、退院先の自宅や維持期病院での継続支援ができず、質の高いリハビリテーションを継続することが難しい・回復期リハビリテーションまでは医療保険、それ以降は介護保険がカバーすることになっており、医療と介護の制度的な連携がとれていない
宮本先生はこのような状況を打開すべく、国や学会として制度の整備を進めていきたいと仰っています。
脳卒中の発症は生活習慣と大きく関連しており、生活改善により発症や再発を予防することができます。
・高血圧、糖尿病、不整脈がある場合には定期受診と治療を欠かさない・禁煙する・過度の飲酒は控える・コレステロール値上昇を予防するため、脂っこいものを控える・高血圧を予防するため、できるだけ塩分を控える・運動習慣を身につける・処方された薬は自己中断せず、医師の指示のもと確実に内服する
このような生活習慣に留意すれば、脳卒中のリスク因子を大きく減らすことが可能です。
顔の片側が歪む、言葉がうまく話せないなど脳卒中を疑う症状がある場合にはすぐに受診することが大切です。
困ったら迷わずに救急車を呼びましょう。
脳卒中を経験した患者さんやそのご家族には、後遺症や療養のことに関して様々な悩み・不安が生じます。
現在、脳卒中患者さんへの相談支援や情報提供、各種認定のために、国が策定した循環器病対策推進基本計画と、学会が策定した脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画の整備が進められているところです。
今後は、医師だけでなく看護師・リハビリテーションスタッフ・薬剤師・栄養士・ケアマネージャー・ソーシャルワーカーなど、脳卒中患者さんに関わるすべてのメディカルスタッフが連携して相談支援を行っていくために、地域の相談窓口が整備されていくことになっています。