顎関節症とは、顎の関節や周囲の組織に問題がある状態を指す言葉です。顎関節は、私たちが口を開閉する際や食べ物を噛む際に重要な役割を果たしています。しかし、顎関節症では、この関節や関連する筋肉、靭帯、骨などに様々な問題が生じます。
顎関節症は20代前後の方に多いと言われています。顎関節症の症状には、顎や顔の痛みや違和感、耳の前側が痛くなる。口を開ける時、閉じる時に痛くなったり、クリック音がするというような症状を訴える方が多くいらっしゃいます。それが悪化すると口が開けづらい、または開いた口が閉じづらいというような症状になってきます。原因はまだよく分かっていませんが、患者さんを診察すると「疲れている」「睡眠不足」などの原因で症状を悪化させる方が多くおり、ストレスと関連があるのではないかと言われています。
治療法に関して、初期のものについては、口の開口・閉口運動をすることで顎関節に潤滑油を回してあげたり、周囲の筋肉をほぐすエクササイズなどが行われたりします。また、消炎鎮痛剤が有効であるとも言われており、痛みが強い場合は服用していただく場合もあります。
ストレスに関連して、食いしばりや無意識の歯ぎしり(ブラキシズム)も顎関節症の原因悪化となることがあります。その場合は食いしばりを予防するマウスピースを用いて顎関節周囲や顎関節そのものの筋肉を弛緩させるような治療が行われます。
以上が保存的な治療の中心です。
患者さんの顎関節症が悪化した場合、関節の中に対する医学的なアプローチとして、顎関節の中を洗浄するような治療が行われます。ですが、それ以上進み、顎関節の変形が起きてしまった場合には、なかなか有効な治療法が無いのが現状です。
膝関節や股関節の場合は人工関節に変えていく方法がありますが、現在顎関節進行期における人工顎関節の治療は進んでおらず、主に顎関節強直症という、動かなくなった顎関節を動かすための治療を行うことがほとんどなので、保存的な治療を中心に行い、それが奏功しない場合は中々治療に難渋するのが現状です。
顎関節症の治療は個別のケースに応じて異なるため、医師との相談が重要です。適切な診断と適切な治療プランを立てるために、口腔外科医や顎関節症に特化した専門医の指導を受けることをおすすめします。