心房細動とは?自覚症状はあるの?診断に必要な検査とは?

超音波(エコー)検査
心房細動
心房細動は不整脈の一つで、心房が小刻みに動いて痙攣するような症状のことを指します。心房細動は心房に血栓を形成しやすくして、脳梗塞や脳血栓症を引き起こすリスクを高めます。 今回は、心房細動の概要と具体的な自覚症状、診断に至るまでに必要な検査などについて、東京慈恵会医科大学 循環器内科の山根 禎一先生に教えていただきました。

 

心房細動について:加齢が原因の一つ、誰でもなる可能性がある

 

 

心臓は4つの部屋に分かれており、そのうち上半分の部屋を「心房」と言います。

心房は血液が素通りしていくだけであるため、心房があまり上手く動かない時でも心室がきちんと動いていれば、ポンプとしての作用は保たれます。

しかし、心臓全体の機能として4分の1位落ちてしまうと言われています。

心房細動は、心臓の4つあるエンジンのうち、2つのエンジン(左心房と右心房)が停止しまっている状態です。

 

頻度の高い頻脈性の病気であり、原因は加齢とされているため、誰でもなる可能性のある疾患なのです。

「高血圧」のように、誰もが持病として持っているような疾患が心房細動です。

 

 

 

自覚症状と発覚に至るまで:無症状がほとんど!動悸を訴える人も

 

 

心房細動の患者さんはあまり症状がない人が多く、健康診断で発見されるケースが多くあります。

 

非常に強い、激烈な症状を訴える人はわずかですが、その人たちの多くは動悸を訴えます。

「胸が圧迫される・痛い」と訴える人もいます。

 

心房細動の症状の特徴は、「症状が全くない人から非常に強い方まで幅広い」というところです。

 

 

 

心房細動の診断フロー:心電図と血液検査が必須

 

 

心房細動を発見するためには、心電図の検査が必要です。

しかし、無症状である人が多いため、健康診断で行うか、または動悸などの症状を自覚したら病院へ行って検査をしてもらうのが現実的でしょう。

 

心電図で心房細動が疑われたら、心臓超音波検査を行います。

これは、心臓の形や機能、心臓の中の血栓の有無を調べる検査です。

24時間のホルター心電図検査(ウェアラブル機器を身につけての継続的な心電図測定)を行うこともあります。

 

無症状の心房細動を早期診断する方法

 

心房細胞の原因には、一部で内分泌的な疾患が関係していることがあります。

特に甲状腺機能亢進症などは心房細動を起こすことがあるため、それらの疾患を除外するために、血液検査も必ず行います。

 

 

 

心房細動の合併症:スコアリングで合併症リスクを判断

 

 

心房細動は通常、良性疾患に分類されます。

つまり、直ちに命に関わる病気ではないという意味です。

 

一部、注意しなければならない合併症があります。

 

最も注意するべきは血栓塞栓症で、特に脳梗塞です。

この危険性を測るために「CHADS2スコア」というスコアリング方法があります。

「C=心不全」「H=高血圧」「A=高齢者(75歳異常)」「D=糖尿病」「S=過去の脳卒中の既往」とそれぞれの因子に分け、スコア化します。Sは2点でそれ以外は1点で点数を付けます。

スコアによってその人がどの程度、脳梗塞を発症するリスクがあるかを判断することができます。

CHADS2スコアが2点以上あれば、脳梗塞のリスクがあると判断して、抗凝固薬を始める必要があります。

現在では、1点でもあれば抗凝固療法を始めた方が良いとも言われています。

 

もう一つの合併症は心不全です。

心房細動があるということは、心機能が低下していることを示します。

これによって心不全を起こす人がいます。

特に、元々の心機能が悪い様な患者さんに心不全が起こると、重篤な状態にもなりかねません。

 

したがって、心房細動の治療を行う際には、合併症にも注意することが重要です。

 

心房細動に対する一般的概念

 

 

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