心房細動のカテーテルアブレーション治療:適応年齢や注意点は?

心房細動
カテーテルアブレーション治療
心房細動の治療法には、薬物治療、カテーテルアブレーションなど選択肢がいくつかあります。 その中でもカテーテルアブレーション治療は、低侵襲な手術で根治を目指せる治療法として、近年注目度が高まっています。 今回は、心房細動の治療におけるカテーテルアブレーションについて、その適応や注意点、抗凝固治療の選択などについて、東京慈恵会医科大学 循環器内科の山根 禎一先生に教えていただきました。

 

カテーテルアブレーションの適応:若い人には良い適応、高齢者にはやや低い適応

 

 

心房細動は進行性の疾患です。

早い段階であれば発作性心房細動、少し進んできて1週間以上続くと持続性心房細動、1年以上続くと長期持続性心房細動へと名前を変えます。

心房細動は進行すればするほど、治りにくくなってきます。

 

カテーテルアブレーションは根治を目的とした治療法です。

現在は、発作性心房細動であれば1回の治療で8~9割、繰り返し治療すれば95%の人が根治すると言われています。

1年以内の持続性心房細動の場合は、治療効果は比較的高いと言われており、およそ7~8割が根治できると考えられています。

 

一方、長期持続性心房細動になった場合、1回の治療で治る確率は3~4割です。

長期持続性心房細動のなかでも比較的持続期間の短い(1~3年程度)ケースでは、5~6割が根治します。

 

進行度による心房細動アブレーションの治療成績

 

カテーテルアブレーション治療の適応で重要なのは年齢です。

20~40歳台の人たちには非常に良い適応であると言われています。

 

一方、70・80歳台の患者さんの場合、心房細動を根治することよりも上手く付き合っていくことも悪い選択肢ではありません。

したがって、手術適応はやや低いと言えます。

 

カテーテルアブレーションの適応では、年齢・症状・進行度の3つの点を総合的に考えて判断することが非常に重要です。

そして、何よりも重要なのは患者さんの希望をきちんと聞き取ることです。

 

 

 

周術期における抗凝固治療

 

 

心房細動の治療で、抗凝固治療を選択する場合、以前は必ず使用していたワルファリンから、DOACを使用することが多くなってきています。

 

元々ワルファリンを飲んでいる人、そしてそのコントロールが落ち着いている人に関しては、そのままワルファリンを用いて、内服を継続した状態でカテーテルアブレーションを行います。

手術後退院しても、フォローアップをすることが、ワルファリン治療の方針です。

 

一方、DOACに関してはカテーテルアブレーション治療を始める前から服用している人が多いと言います。

 

東京慈恵会医科大学では、特別なことが無い限りDOACを継続して、周術期に使用することが多いといいます。

 

 

 

患者さんへのメッセージ

 

 

進行した心房細動に対してのカテーテルアブレーション治療は、まだまだ発展段階です。

治療効果は定まっておらず、再発も多くあります。

手術すれば根治する、といった治療法とは大きく異なっています。

 

もう一つの留意点は、カテーテルアブレーションが侵襲的な手術であるということです。

手術に伴って心臓に穴が開く「心タンポナーデ」や、手術中に脳梗塞を起こしたり、命に関わる合併症を起こす可能性もあります。

 

このような点を理解した上で、医師と相談しながら治療を進めていくことが非常に重要です。

 

 

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