心不全は年々増加していると言われています。
2015年の統計では23万人を超える罹患者がおり、1万人以上/年の割合で患者が増加しています。
2020年中には患者が120万人に達するとの見込みもあります。
心不全は重症化すると、治療が非常に困難になる疾患なので、早期発見が重要です。
心臓は血液のポンプ機能を司っている臓器です。
心不全になると、そのポンプ機能が弱くなることで血液の循環が少なくなり、息切れやむくみといった症状が現れます。
これらの症状は、体を動かした時に特に実感します。
ちょっとした息切れを感じた時には「もしかしたら心不全かも」と思うと良いでしょう。
「年だから疲れやすいのかな」と、症状を放置しておくと、夜中に重症化して肺に水が溜まって救急搬送、というケースもあります。
最初の小さな症状を見逃さないことが大切です。
心不全の原因は多岐に渡ります。
例えば、拡張型心筋症は生まれながらの心筋症で、小さい時には問題なかったけれど大人になってから症状が現れる、といったケースもあります。
また、全世界で多いのは、心筋梗塞のような「虚血性心疾患」と呼ばれる疾患によるものです。
これは、心臓を栄養する冠動脈が詰まることで起こります。
その他、高血圧や心房細動など、慢性的な疾患が原因で心臓に少しずつ負担がかかり、心不全を発症するケースが多くあります。
心不全の検査では、問診と診察を必ず行います。
診察では、聴診器で胸の音を聴取します。
心臓の動きが悪くなって肺への血液循環が低下すると、「うっ血」が起こります。
これは肺に水が溜まった状態です。
うっ血の状態になると聴診で聞こえる呼吸音が変わるため、診断の一つの目安になります。
ただし、初期の心不全の場合、聴診のみで診断ができないことがあるため、レントゲンや心電図も計測します。
また、BNPと呼ばれるホルモンの量を測定することがあります。
このホルモンは、心不全で心臓に負担がかかったときにたくさん分泌されるため、心不全の診断の目安となります。
BNPが大量に分泌している場合、その原因検索のためには、心臓の超音波検査である心エコーが非常に重要です。
心臓の機能低下によるのか、もしくは心臓のポンプ機能が保たれているにも関わらず起こっているのか、様々な状況を心エコーで判断します。