CRTの手術は、ペースメーカーの手術と全く同じ要領で行います。
通常、局所麻酔による手術です。
左の鎖骨の少し下に静脈があり、そこから心臓へと繋がっています。
この静脈から、カテーテルのような形式で3本のリード線を挿入し、それぞれ心臓の中の定位置に留置します。
その後、左鎖骨下のリード線と本体を接続し、それらを前胸部の皮下に埋め込みます。
CRTの手術を行った後、1ヶ月程度は、埋め込んだ側の手を大きくバンザイするような動作は避けるように伝えます。
また、激しいスポーツを行う場合は、その種類に応じて2~3ヶ月は控えてもらうようにしています。
その他は、日常生活を送る上で支障になることはほとんどなく、通常通りに生活することができます。
CRT手術を行った患者さんには「ペースメーカー手帳」をお渡しします。
自分の埋め込んだ機械に応じた手帳で、外来で診察した時に測定した数値などを記録します。
この手帳を見ることで、今どんな治療が行われているのか一目で分かるようになっています。
CRT独自の合併症としては、横隔膜の痙攣が挙げられます。
心臓の表面に近い血管にリード線を挿入するため、リード線が横隔膜に至る神経(横隔神経)と接近している場合があります。
このため、リード線を通じて心臓を刺激している時に、同時に横隔神経にも刺激が伝わり、横隔膜が小さく痙攣することがあります。
このような合併症に対しては、ペースメーカーの刺激の出力を変えたり、刺激する位置を選ぶことで対処できるため、申告してもらい、ペースメーカーの調整を行います。
ペースメーカーもCRTも、電池で駆動する機械です。
そのため、5~10年ごとに本体を交換する必要があります。
CRTの中で除細動器が付属している場合、電気ショックを落とすための治療をしたい不整脈以外の不整脈が出現して、脈拍が急上昇すると、不適切に治療が働いてしまうことがあります。
このようなことが起こった場合には、すぐに電話して受診していただければ、原因を検索し、再発防止を図るような体制を整えています。
心不全は非常に頻度の高い病気ですが、進行していくと生命を脅かす可能性が高い、怖い疾患です。
しかし、早期に対処すれば、生命予後への影響をできるだけ小さくし、上手く付き合うことのできる病気でもあります。
放っておくことなく、何か気になる症状が現れた時にはすぐに受診してみましょう。
早期発見・早期診断、そして早期治療が健康を守る鍵になります。