過敏性腸症候群の治療法:治療選択は?辛い症状との付き合い方は?

過敏性腸症候群(IBS, irritable bowel syndrome)は、各国で10%程度の人が罹患している、珍しくない疾患です。発症する要因は様々あるようですが、他の疾患と症状が被る部分もあるため、慎重な診察が必要とされています。 今回は、過敏性腸症候群の治療選択肢や、慢性疾患としての付き合い方、「過敏性腸症候群かも?」と思った時に気を付けるべきポイントなどについて、慶應義塾大学病院 消化器内科の正岡 建洋先生に教えていただきました。

 

過敏性腸症候群の治療法:まずは症状に対する治療

 

 

過敏性腸症候群の治療では、まず症状に対して治療を行います。

腹痛があればそれを緩和させるために鎮痙薬(腸の運動を抑制する薬)と下痢を抑える止痢薬を投与します。

 

便秘の薬は2つのタイプに分かれます。

1つ目が便を柔らかくして排便しやすくする薬、もう1つが腸の動きを活発にして排便を促す薬です。

このような薬を症状に応じて選びます。

便秘に対しては最近新しい薬が出てきており、治療選択の幅は広がっています。

 

過敏性腸症候群は生活の質に影響する疾患であるため、生活に最も影響している症状をとることが主体となって、治療の選択を行なっています。

もちろん、精神的な因子が考えられる場合には、必要に応じて専門医に相談することもあります。

 

 

過敏性腸症候群との付き合い方:慢性疾患と捉えて、少しずつ改善していく

 

 

過敏性腸症候群は、ローマⅣ基準によると、6ヶ月前から症状が始まっていて、直近の3ヶ月間、週に1回以上腹痛がある、とされています。

長い経過のある慢性の疾患であるという点がポイントです。

 

短い期間(直近1~2週間)で始まった下痢などは、急性の胃腸炎などを疑うべきでしょう。

 

もちろん患者さんにとっては、生活の質に影響するような腹部の症状があるため、症状を早く改善したい気持ちがあります。

しかし、少しずついろいろな薬に変えて症状と付き合いながら、少しずつ改善していくことが治療には重要です。

つまり、100あった痛みを80、70に減らしていき、少しずつでも軽くしていくことが大切なのです。

 

 

過敏性腸症候群を疑ったら:誤った情報が蔓延する現代でインターネットは参考程度

 

 

現在は情報過多の時代であり、インターネットを通じて莫大な量の情報が流れています。

患者さん自身は非常に困っている状態ですから、自分の病態がどのようなものなのかを知りたくて、いろいろと検索します。

そこで自分の症状にピッタリと合う疾患を見つけると、そこに誘導されてしまいます。

胃腸系の疾患ですと、主に海外で報告されている「セリアック病」などを疑って来院する人もいます。

仮にそのような疾患であるとしても、インターネット上の情報は参考程度にとどめ、確定診断は医療機関を受診して、専門の医師による治療を受けて欲しいと思います。

 

 

慶應義塾大学病院での取り組み:専門外来で丁寧に診療を

 

 

慶應義塾大学病院には「機能性消化管疾患外来」があります。

過敏性腸症候群を含めた便秘の患者さんに対する診療を行う、専門の外来です。

病態を明らかにした上で、適切な薬を選択するなど、最適な治療を考えるように心がけています。

 

過敏性腸症候群を疑った場合は、まず近くの消化器の専門外来を受診して、必要に応じて高次医療機関を紹介してもらうのがベターです。

 

 

 

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