これまでのIBSはRomeⅢという基準を用いて、IBSかどうかを診断していました。
RomeⅢでは腹痛以外にも痛み以外の不快感が含まれていたり、排便により症状が改善するなどの症状が3ヶ月以上持続すればIBSとされていました。
しかし、この基準が変更になり、これからはRomeⅣという新しい基準を用いて、IBSかを診断することが推奨されています。
RomeⅣでは腹痛があり便通異常が3ヶ月以上持続すれば、IBSであるとされています。
RomeⅢに比べ、よりシンプルな定義になった印象が見受けられます。
日本では便秘型のIBSに対して、薬剤の導入が進んでいます。
便秘の主な原因は大きく2つに分けられます。
1つ目は、何らかの原因で便が大腸にいる時間が長くなってしまい、便の水分を吸収されすぎてしまうことで、便が硬くなって詰まってしまうものです。
2つ目は、食生活などで腸の動きが悪くなってしまい、肛門まで便がいきついていないということがあります。
普段から便が硬い方には、便に水分を与える浸透圧性の下剤を使用します。
お腹の動きが悪い方には、腸を動かすための刺激を与える薬を使用します。
患者の症状に応じて、それぞれの特徴をもった薬剤を使用するというのが、現在の日本の治療法になります。
海外では医療用医薬品だけではなく、低FODMAP食を食べることで、IBSの症状を軽減させる治療法が取り入れられています。
FODMAPは様々な食品に含まれているとされています。
このFODMAPは腸内で分解・吸収されにくく、腸の中に留まってしまいやすいという性質をもちます。
そこでFODMAPの含有量が少ない低FODMAP食を取り入れることで、便秘のリスクを減らそうという治療になります。
欧米では治療法の一つとして扱われていますが、今の日本では有効性に対してまだまだ検討が必要という段階で、便秘型IBSの治療法として確立はしていません。
下痢型の治療薬としては下痢止めを使用するのが一般的です。
しかし、ここで見落としてはいけないのが、混合型のIBSです。
混合型は文字通り、下痢と便秘を繰り返してしまう病気なので、便秘と下痢どちらの治療をすべきか、専門医でなければなかなか判断がつきません。
便秘と下痢はよくある症状ですが、一筋縄ではいかない症状でもあります。
市販薬を試し、治らなければ専門医に相談することが大切です。