便秘と下痢を引き起こす病気、IBS(過敏性腸症候群)とは?

皆さんはIBSという病気をご存じでしょうか? IBSは腹痛と共に、下痢や便秘の症状が数ヶ月間以上続く時に考えられる病気のことを指します。 腹痛や便秘や下痢、全ての症状を経験された人は数多くいるかと思います。しかしこのような症状が数ヶ月間以上続くともなれば、日常生活に支障を来しかねません。 今回はそんなIBSという病気と治療法について、川崎市立川崎病院内視鏡センター所長 慶應義塾大学医学部内科学客員教授 正岡 建洋先生に教えていただきました。

 

IBSってどんな病気?IBSと決める基準について

 

 

これまでのIBSはRomeⅢという基準を用いて、IBSかどうかを診断していました。

RomeⅢでは腹痛以外にも痛み以外の不快感が含まれていたり、排便により症状が改善するなどの症状が3ヶ月以上持続すればIBSとされていました。

 

しかし、この基準が変更になり、これからはRomeⅣという新しい基準を用いて、IBSかを診断することが推奨されています。

 

RomeⅣでは腹痛があり便通異常が3ヶ月以上持続すれば、IBSであるとされています。

RomeⅢに比べ、よりシンプルな定義になった印象が見受けられます。

 

 

便秘型IBSの治療法、日本で使用される医療用医薬品

 

 

日本では便秘型のIBSに対して、薬剤の導入が進んでいます。

 

便秘の主な原因は大きく2つに分けられます。

1つ目は、何らかの原因で便が大腸にいる時間が長くなってしまい、便の水分を吸収されすぎてしまうことで、便が硬くなって詰まってしまうものです。

2つ目は、食生活などで腸の動きが悪くなってしまい、肛門まで便がいきついていないということがあります。

 

普段から便が硬い方には、便に水分を与える浸透圧性の下剤を使用します。

お腹の動きが悪い方には、腸を動かすための刺激を与える薬を使用します。

患者の症状に応じて、それぞれの特徴をもった薬剤を使用するというのが、現在の日本の治療法になります。

 

 

欧米で取り入れられている低FODMAP食とは?日本での位置づけ

 

 

海外では医療用医薬品だけではなく、低FODMAP食を食べることで、IBSの症状を軽減させる治療法が取り入れられています。

 

FODMAPは様々な食品に含まれているとされています。

このFODMAPは腸内で分解・吸収されにくく、腸の中に留まってしまいやすいという性質をもちます。

そこでFODMAPの含有量が少ない低FODMAP食を取り入れることで、便秘のリスクを減らそうという治療になります。

欧米では治療法の一つとして扱われていますが、今の日本では有効性に対してまだまだ検討が必要という段階で、便秘型IBSの治療法として確立はしていません。

 

IBSに対する低FODMAP食について

 

 

下痢型と混合型IBSの治療方法、治らなければ専門医に相談を!

 

 

下痢型の治療薬としては下痢止めを使用するのが一般的です。

しかし、ここで見落としてはいけないのが、混合型のIBSです。

 

混合型は文字通り、下痢と便秘を繰り返してしまう病気なので、便秘と下痢どちらの治療をすべきか、専門医でなければなかなか判断がつきません。

便秘と下痢はよくある症状ですが、一筋縄ではいかない症状でもあります。

市販薬を試し、治らなければ専門医に相談することが大切です。

 

新規便秘治療薬の一覧

 

 

 

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