色々な疾患において、薬物療法が効かない時に手術療法を用いるというイメージがあると思います。
胃食道逆流症(GERD)の場合は、薬を服用しなくて済むようにするために手術を行う場合があります。
手術が必要かどうか判断するためには、初めにGERDの状態を評価することが重要です。
例えば、明らかな逆流があり薬物療法が効きにくいタイプや胃と食道のつなぎ目が大きく開いているタイプでは手術療法が有効であると言われています。
手術方法としては、がんに対して行われている内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を応用した方法で実施することが増えてきています。
詳しくいうと、胃と食道のつなぎ目を切除もしくは焼灼することで一時的に潰瘍をつくり、それが治る過程で胃と食道のつなぎ目を狭くする治療法です。
ただし、これらの治療で必ず良くなるという訳ではなく、明らかな逆流が認められている人に行うことで効果が期待できます。
稀に、手術後に胃と食道のつなぎ目が狭くなり、つかえ感を生じる場合もあるため、病態をしっかりと評価した上で治療法を決めることが大切です。
どのような方に手術療法が適しているかの判断は非常に難しくなっています。
例えば、悪性疾患の場合はそのまま放置すると癌が進行していくため手術せざるを得ません。
それに対して、良性疾患の場合は手術による副作用が生じ、症状が悪化する可能性もあります。
手術するかどうかの判断材料の一つは、患者さんが手術の必要性を感じていることです。
例えば、現在の症状によって生活の質が下がっていたり、薬を飲むのも大変だったりする場合に手術療法を選択します。
肥満は胃食道逆流症の要因の一つであるため、適正体重に減らすことが大切です。
また、脂っこい食事は内臓脂肪を増やすだけでなく一過性LES弛緩を増やすと言われているため、食習慣を整えることが重要です。
特に、食べた後に少しでも症状が現れる食事はできるだけ避けるようにしましょう。
最近では、生活習慣を記録するノートが活用されています。
例えば、睡眠や食事内容、症状出現の程度を記録します。
ノートを活用することで、症状や生活習慣について主治医とともに確認して適切な診療につなげることが可能です。
胃食道逆流症で受診すべきタイミングの一つは、胸やけ等の症状で生活に支障が生じている場合です。
もう一つは、週に1回は症状が現れるなど頻度が多い場合は医療機関を受診するようにしましょう。
過去に胃食道逆流症を指摘されたことがない方は治療を始めたり、すでに治療の経験がある方は治療内容を変更したりするなど、その方に合った方法で治療することが大切です。