月経困難症:この生理痛は我慢しなくてもいい?治療法は?

生理痛に悩まされたことのある女性はたくさんいると思いますが、「これくらい誰でも経験していることだ」と思い込んで、重い生理痛を我慢している人もたくさんいるのではないでしょうか。 「生理の1日目はベッドから起き上がれない」「吐き気で食事できない」などの症状に心当たりはありませんか?それは月経困難症の症状で、治療できるかもしれません。 今回は、月経困難症の詳しい症状や分類、治療法について、横浜市立大学付属 市民総合医療センター・婦人科の榊原 秀也先生に教えていただきました。

 

横浜市立大学附属市民総合医療センター 新型コロナウイルス感染症対応の記録

https://www.yokohama-cu.ac.jp/urahp/outline/topics/20210531/COVID-19film.html

 

月経困難症について:日常生活に支障をきたすレベルの生理痛

 

 

月経困難症の医学的な定義は「生理痛が非常に強くて日常生活に支障をきたすもの」とされています。

一般的には「非常に重い生理痛」ととらえて良いでしょう。

一般的な症状は下腹部痛ですが、腰痛・頭痛・下痢・吐き気なども含みます。

 

 

月経困難症の分類:「器質性」と「機能性」

 

 

月経困難症は、「機能性」「器質性」の2つに分類されます。

 

器質性とは、何かしら原因となる疾患があって、その症状として月経困難症が現れるタイプです。

原因疾患としては子宮筋腫子宮内膜症などが多く、その症状として生理が重くなるという状態が見られます。

器質性月経困難症の場合、疾患自体を治療しなければ月経困難症を治すことはできません。

 

一方、機能性月経困難症は、原因となる疾患が特に無いにも関わらず生理痛が酷いタイプです。

これについては、痛みに対処する治療を施すことになります。

 

月経困難症の分類

 

 

月経困難症の治療法:痛み止めの使用が1stチョイス、ピルや漢方なども併用

 

 

月経困難症の治療では、まず痛み止めの使用を試みます。

3ヶ月から半年程度、痛み止めを服用しつつ様子を見ていきます。

この間におよそ3分の2の患者さんは通常の生活が送れるようになります。

 

残りの3分の1の患者さんに対しては、月経困難症の治療として保険適用の低容量ピルなどを用います。

この治療は「生理自体を軽くする」というイメージです。

喫煙者など様々な条件でピルが使用できない患者さんに対しては、漢方薬を併用することがあります。

 

 

痛み止め・ピルの使用について:我慢しないで早めに服用

 

 

月経困難症の治療においては、痛み止めは早めに内服することが重要です。

重症の月経困難症の人では吐き気を伴っており、薬を飲んでも戻してしまう場合があります。

「痛くなってきた」と感じたら我慢せずに、すぐ痛み止めを飲むことが推奨されています。

 

通常の機能性月経困難症では、月経開始2~3日目に症状のピークを迎えます。

その間は、1日3回程度、定時に薬を服用するのがベストであると言われています。

「痛み止めを飲み過ぎるのは良くない」という論調もありますが、3日間程度で、1日3回の服用であれば、むしろ使用した方が良いと考えられています。

 

治療を受ける人の中には、痛み止めが効かなくなった症例もあります。

そのような人には低容量ピルの服用が推奨されますが、まだピルに対してネガティブなイメージを持っている人も少なくありません。

特に、未成年患者の保護者に多いようです。

 

低容量ピルは避妊薬としても用いられますが、月経困難症の治療においてはあくまでも「月経痛を緩和させるため」に服用します。

結果的に避妊効果も付いてきますが、それは副次的こうかであるため、色眼鏡で見ることなくベストな治療法を選んでほしいと思います。

 

ピルは、半年程度を目安に内服を続けていると、症状はかなり楽になります。

痛み止めもピルも、実際に生活の質を向上させることにつながるため、痩せ我慢をせずに服用してみてください。

 

 

 

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