心室性不整脈とは:原因と症状、検査方法は?治療の選択肢も

カテーテルアブレーション治療
心室性不整脈は、心臓の4つの部屋のうち、下側の部屋に起こる不整脈のことです。原因には様々ありますが、原因不明で起こるケースもあります。 今回は、心室不整脈の概要やその症状、検査方法や具体的な治療方法などについて、福井大学医学部 循環器内科学・教授の夛田 浩先生に教えていただきました。

 

心室性不整脈について:不整脈の連続回数で分類。原因不明のケースも

 

 

心室頻拍は、心臓の下側の部屋(心室)から起きる不整脈のことを指します。

心室から起きる不整脈は、単発や2連発までの「期外収縮」3連発以上の「心室頻拍」に分けられます。

 

期外収縮

 

原因別では、心臓に特に傷などが無くて心筋梗塞や心筋症などの疾患が無くても起こる「特発性」と、心筋梗塞や心筋症に合併して起こる「2次性」に分類されます。

 

 

心室性不整脈の症状:動悸や脈の違和感などが主な症状。血圧の急激な低下には要注意

 

 

心室性不整脈の症状には、脈不整感や動悸などの症状が多く、時に連続して出現する心室頻拍の場合は血圧が低下して、めまいや失神を起こす場合もあります。

血圧の低下は致死性にもなりうるため、注意が必要です。

 

一方で、全く自覚症状のないケースもあり、検診で見つかって受診する人もいます。

 

不整脈疾患:発生機序

 

 

心室性不整脈の検査法:心電図計測がメイン。心機能確認のために超音波検査も

 

 

大学病院などでは、紹介状を持って来院する患者さんが多いため、これまでの診察経過や心電図記録が、ある程度存在する状態で診察を開始することが多いです。

 

しかし、実際の初診では、まず「12誘導心電図」と呼ばれる通常の心電図を測定します。

 

受診時12誘導心電図

 

長時間の経過を記録する「24時間ホルター心電図」を測定することもあります。

 

また、心機能が正常かどうかは予後に影響するため、心臓超音波検査なども加えて行います。

 

 

心室性不整脈の治療法:無症状では経過観察。症状のある人には投薬、カテーテル治療も

 

 

頻拍の回数が非常に少なく、症状も見られない場合や、血圧が下がるなどの悪影響が見られないケースでは、特別に治療を加えず経過観察を行います。

 

一方、頻拍の回数が非常に多く、その他の症状が強いケースでは薬物治療を行います。

不整脈自体を治療する抗不整脈薬もありますが、非常に緊張した時や労作時に症状が出やすい人に対しては、心拍数が上昇するのを抑制するようなβ遮断薬を用いることがあります。

 

薬物治療の効果が不十分であったり、カテーテル治療で根治できる可能性のあるケースでは、患者さんと相談の上、カテーテル治療を行います。

 

 

心室性不整脈のカテーテル治療:ケースによっては根治可能に

 

 

カテーテル治療では、局所麻酔を行って、大腿静脈(鼠蹊部)からカテーテルを挿入し、心臓の中まで進めていきます。

不整脈の原因となっている場所を特定し、そこにカテーテル先端を当て、高周波の電気を流します。

これによって50~60℃の熱が生じ、細胞を焼き切ることができます。

細胞が焼き切れて壊死すると、その部分に電気は流れません。

不整脈は心臓組織に流れる電気のリズムが不整になるために起こるので、不整脈が起こっている場所の組織を焼き切る(=壊死させる)ことで、不整脈の根治が可能になります。

 

高周波カテーテルアブレーション(焼灼術)

 

症状や検査結果は患者さんによって多種多様です。

状況に応じて、治療の成功率などをお話しします。

 

カテーテル治療で治るケースはかなり多く、心筋梗塞などに合併したものでも、種類の少ない不整脈を焼けば、その後全く不整脈が起こらないことがあります。

 

 

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