不整脈のカテーテル治療:どのようなケースで適応?注意点は?

薬物治療
カテーテルアブレーション治療
不整脈の治療方法には、薬物治療の他にカテーテル治療があります。薬物治療もカテーテル治療も、それぞれにメリットとデメリットがあり、状況によってベターな選択は変わります。 今回は、不整脈に対するカテーテル治療の適応や、カテーテル治療を受ける上での注意点、治療を受ける病院を選ぶ上でのポイントなどについて、福井大学医学部 循環器内科学・教授の夛田 浩先生に教えていただきました。

 

カテーテル治療の適応:薬物療法も一長一短。カテーテルの適応は全てではない

 

 

不整脈の治療に用いる抗不整脈薬には、非常に効果の強いものから効きの弱いものまで様々ありますが、長期間服用していると、心機能を悪化させたり、合併症を招いたりする恐れがあります。

さらに抗不整脈薬によって別の種類の不整脈が起きるという「催不整脈作用」によって致死性の不整脈が起こることがあります。

抗不整脈薬を用いた治療は、これらのことを鑑みて行う必要があります。

 

カテーテル治療不整脈の根治が期待できる治療法の一つです。

治療しやすい場所はある程度推測できるため、この場所に合致する様なケースで、カテーテル治療の成功率が極めて高いと考えられる場合、カテーテル治療の実施を相談します。

 

一方、不整脈が起きている場所がカテーテル治療の実施が難しいポイントで、成功率が低いと予想される場合には、経過をよく観察しながら投薬を調整していきます。

カテーテル治療が難しいケースの例としては「不整脈の起きている場所が10ヶ所以上ある」といったものが挙げられます。

 

カテーテルアブレーションによる不整脈根治の機序

 

また、心筋梗塞に合併した不整脈によって、心臓の機能が悪化して心不全の原因になっている場合は、そのきっかけとなっている心室性不整脈を治療します。

 

アブレーションで根治可能な不整脈疾患

 

心臓の機能が特に低下していない様な特発性の心室期外収縮や、重度ではない不整脈のケースでは、3泊4日の入院期間をとった上で、その1ヶ月後に外来で診察を行います。

そこで24時間ホルター心電図などを計測して、治療前と比較して判断します。

 

 

患者さんへの留意点:カテーテル挿入は大腿静脈から

 

 

冠動脈造影や心臓の血管を広げる治療は、手首にだけ注射をして、1ヶ所から管を入れるのが主流となっています。

 

一方、不整脈の治療では、心臓の電気の流れを記録して行うため、心臓の中にカテーテルを3~5本程度挿入します。

そのため、それらのカテーテルを1ヶ所から体内に入れるには、大腿静脈を入口とする必要があります。

患者さんにはこのことを留意していただきたいと思います。

 

人によっては足の付け根からカテーテルを挿入することに抵抗感のある人もいますが、不整脈治療では標準的な方法であることをご理解頂きたいです。

 

心臓電気生理検査におけるカテーテル位置の透視像

 

 

病院選びのポイント:まずは近医で。専門医のいる病院が安心

 

 

不整脈を疑った場合、まずはかかりつけ医を受診しましょう。

その上で、紹介状を持って専門の医師のいる病院へ行く、という流れが一般的です。

 

患者さん自身で調べて、来院される人もいます。

どうしてもかかるべき病院が分からない場合は、日本不整脈心電学会のHPを見てください。

不整脈専門医のリストが掲載されており、各都道府県にいる専門医を確認することができます。

 

ただし、心臓カテーテルアブレーションの実施数までは記載していないため、主治医に尋ねて紹介してもらうのが良いでしょう。

ある程度の治療実績のある病院が近くにあれば、通院しやすいですし、受け入れもスムーズだと考えられます。

 

本邦の年間カテーテルアブレーション件数

 

 

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