喘息は慢性の病気です。
よくある誤解は、喘息発作が起こって苦しくなっても、治療すればすぐに楽になり治ったと思われることです。
発作が起こるのは、アレルギー体質や症状がなくても炎症が起こっていて、そこにアレルゲン(刺激)が加わるためです。
つまり、慢性的に炎症がある、あるいは気管支が少し狭い状態にあります。
そのため、喘息の増悪を起こさないように普段から長期管理薬を使って治療する必要があります。
長期管理薬で最も重要なのは吸入ステロイド薬です。
吸入ステロイド薬は、気管支だけに作用して、全身にはほとんど影響を及ぼさないため、気管支の炎症を抑える基本的な治療薬です。
もう一つは、気管支拡張薬があります。
気管支拡張薬は、気管支の周りを取り囲んでいる狭まった平滑筋を緩めて気管支を拡げる作用があります。
気管支拡張薬は、β2刺激薬、抗コリン薬、テオフィリン製剤の3種類があります。
特にβ2刺激薬が最も重要で、最近は抗コリン薬も良い製剤が開発され、よく用いられています。
どの気管支拡張薬も基本的に口から吸入する薬であり、吸入ステロイドを併用するのが基本的な治療法です。
その他に、飲み薬の抗アレルギー薬があります。
最も使用されるのはロイコトリエン受容体拮抗薬で、アレルギー性鼻炎にも有効な薬です。
患者さんの症状に合わせて、これらの薬を組み合わせて治療していきます。
症状増悪時には、狭くなった気管支を素早く拡げることが重要なため、即効性のある気管支拡張薬が第一選択です。
長期管理に用いるβ2刺激薬は、1日1〜2回投与して持続的に気管支を拡げる「長時間作用型」です。
一方で症状増悪時には、5〜10分で気管支が拡がるような即効性のある「短時間作用型」の薬を使用します。
ただし、短時間作用型の薬は数時間しか効果が持続しないため、増悪した症状をピンポイントで和らげることになります。
症状増悪時は気管支が狭くなることに加えて、多くの場合は炎症が強くなっています。
炎症を即効で抑えるためには、ステロイドの飲み薬または点滴を投与します。
ステロイドは副作用がありますが、増悪時に通常は数日投与すれば症状が落ち着くため、年1〜2回程度・数日間の投与であれば許容範囲です。
しかし、年3〜4回の投与は副作用が懸念されるため、症状増悪時のステロイドは使用しなくて良いように長期管理をしっかり行うことが重要です。
症状増悪時の受診の目安として、以下のような方は予め早めに受診していただく必要があります。
・急激に悪化する場合・病院に行こうとしても距離が遠いなどの理由でなかなか行けない場合
一般的な症状増悪時の受診の目安は、以下のような場合です。
・苦しくて横になれないくらいの症状が続く場合・短時間作用型のβ2刺激薬(メプチン、サルタノールなど)を1〜2時間おきに使用しなければならず、それでも症状が治らない場合
また、患者さんによってはステロイドを事前にお渡しして、症状増悪時にご自身で飲んでいただくこともありますが、それでも良くならなければ受診していただいた方が良いでしょう。