喘息増悪時の対処法と予防法:難治性喘息の新たな治療法についても解説

喘息増悪時は、β2刺激薬や経口ステロイド等での対処が必要です。難治性喘息は一般的な治療薬ではコントロールが難しいですが、新たに生物学的製剤が開発されました。今回は、喘息増悪時の対処法や予防法、難治性喘息の新たな治療法について、名古屋市立大学 大学院医学研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学の新実 彰男先生に教えていただきました。

 

自宅での治療管理:増悪時の対処法

 

 

喘息増悪時の治療薬として、短時間作用型β2刺激薬が一般的に用いられます。

通常は1回2吸入ですが、発作が起きて最初のうちは15〜20分おきに続けて使用していただいても構いません。

 

次の選択肢である経口ステロイド薬は、副作用もあるため病気・薬について理解していただいた上で、β2刺激薬で効果不十分な場合に飲んでいただきます。

 

普段と比べて増悪の程度を客観的に評価するために、呼吸機能検査を行うこともあります。

この検査は基本的に病院で行いますが、一部の重症患者さんはピークフローメーターという携帯用の呼吸機能測定器を用いて毎日計測し、ピークフロー値によってステロイドを飲んだり、すぐ病院を受診するなど具体的な指示をお伝えすることもあります。

 

 

喘息増悪への予防法

 

 

予防法として、明らかに原因が分かっている場合はその原因を避ける努力をしていただくことが重要です。

 

例えば、家のホコリ・ダニに反応してしまう方は、室内(特に寝室)をできるだけ綺麗にしましょう。

 

近年、特に増えているのがペットによるアレルギーです。

その場合、犬・猫は週2〜3回、全身を洗っていただくとアレルゲンとなる成分がとれることが分かっています。

犬・猫とベッドで一緒に寝ている方もいますが、喘息増悪の要因となるため絶対にやめましょう。

 

解熱鎮痛剤を飲むと喘息が出る方は、その薬を避けなければなりません。

過労が喘息増悪のきっかけになる場合は、ストレスをなるべく減らす必要があります。

女性は、月経周期妊娠時に喘息が増悪する場合もあるため注意が必要です。

 

喘息治療の基本は、喘息が増悪する原因(悪化因子)をできる限り取り除いた上で、長期治療薬を服用し続けることです。

成人の喘息が完治するケースは少ないですが、状態がしばらく落ち着いていれば医師から薬の量を減らす提案をする場合もあります。

ご自身の判断で服用を中断したり減らしたりしないようにしましょう。

 

喘息長期管理の進め方

 

 

難治性喘息に対する治療法の進展

 

 

長期管理薬として一般的な薬剤は吸入ステロイド、気管支拡張薬、抗アレルギー薬があります。

それらを複数投与し、高容量の吸入ステロイドを投与しても喘息のコントロールが難しい「難治性喘息」の方もいます。

 

難治性喘息の患者さんにおいては、近年開発されてきた生物学的製剤を用いて治療することが可能となりました。

生物学的製剤には現在、ゾレア、ヌーカラ、ファセンラ、デュピクセントという4種類の注射薬があります。

薬価が高いですが有効性も高いため、必要に応じて治療を選択することができます。

 

薬剤以外の治療法として、気管支熱形成術があります。

内視鏡を用いて気管支に熱を加えることで、気管支周囲の平滑筋の量を減らし、気道の収縮を軽減させる治療法です。

気管支熱形成術は限られた施設でしか行えませんが、重症喘息を改善させる治療法の一つです。

 

 

 

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