日本では約5〜10%の子どもが小児ぜん息に罹患していると言われています。
罹患数は過去には右肩上がりに増加していましたが、2012年以降はやや減少しています。
ぜん息は急に苦しくなる急性増悪と呼ばれる状態になり、病院に駆け込まなければならないことがありますが、近年、新型コロナウイルス流行の影響でマスク着用などの感染予防が徹底され、健康管理意識が高まったことなどから、ぜん息の急性増悪のために受診する人数は世界的に大きく減っています。
ぜん息は他のアレルギー疾患(アレルギー性鼻炎、花粉症、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど)を合併しやすいことも知られています。
ぜん息は、空気の通り道である気道がアレルギーで炎症を起こして腫れると、その通り道が狭くなってしまいます。
そうすると、ゼーゼーヒューヒュー音が聞こえたり、空気が入らず呼吸困難に陥る場合があります。
また、気管支がとても敏感になるため、風邪のウイルス・花火・タバコの煙等の刺激が入ると気道が一気に狭くなり、発作を起こしやすくなります。
治療を行い発作状態が落ち着くと、気道は普段通りの大きさに戻りますが、また何かの拍子に発作を繰り返すのが特徴です。
ぜん息は、ウイルス感染、ダニ、動物の毛、天候の悪化、大気汚染、タバコの煙、激しい運動、カビ、ストレスなど色々な要因によって敏感になった気管支が、さらに刺激を受けることで細くなってしまいます。
軽いぜん息の状態では、風邪を引いた時に通常4〜5日で治る咳が10日以上にわたって長引くことがあります。
ぜん息がもう少し悪化した状態では、埃っぽい空気を吸うと咳が出たり、胸からヒューヒューゼーゼー音が聞こえたりします。
さらに悪化すると、息をするのも苦しく、身体を横にすることもできなくなり、すぐに病院を受診する必要が出てきます。
このようにぜん息は苦しいだけでなく、軽い咳が長く続く状態から呼吸困難に陥るまで、かなり幅広い症状があります。
季節の変わり目は、天候・気圧が大きく変化する時期です。
春は冬の寒さから徐々に暖かくなり、秋は夏の暑さから急に涼しくなり、色々な風邪にかかりやすいです。
また、花粉や室内のダニなどのアレルゲン量は春と秋がピークだと言われています。
そのため、春と秋にぜん息の症状が出やすいことが分かっています。
ぜん息の検査は、まず聴診器を用いて胸の音を聞きます。
そして、採血や皮膚テストなどでアレルギー体質があるか確認する場合もあります。
学童期のお子さんになると、大きい病院であれば気管支の太さ・炎症の程度を調べるために、大きく息を吐いたり吸ったりして調べる呼吸機能検査や、吐き出した息の中の一酸化窒素濃度を調べる呼気NO濃度測定を行う場合もあります。
咳、呼気性ぜん息、呼吸困難を繰り返すなどの典型的な症状がみられれば、ぜん息と診断されることが多いです。
特に、気管支拡張薬の吸入でこれらの症状が一時的に改善する場合、または長期管理薬の投与で咳やゼーゼーが落ち着く場合はぜん息と診断される可能性が高くなります。
また、アレルギー体質がある場合はぜん息の可能性が高くなるため、ご自宅のダニ・動物の毛などに気を付けたり、アレルギー体質かどうか血液検査で調べることも大切です。