ぜん息の発作というと、普段は何ともなくて調子が悪い時だけ症状が出ると思われがちですが、気道の慢性的な炎症がある中で急性増悪は起きるため、医師の間では「発作」ではなく「急性増悪」と呼ぶようになってきています。
急性増悪の症状は、咳がなかなか止まらない、聴診器で聞かなくても胸からヒューヒューゼーゼー音が聞こえる、普段より息が速い・回数が多い、息をする度に肩が上がる・胸が凹む等であり、これらの症状があると息をするのが辛い状態です。
さらに症状が悪化すると、横になっていられなくなり、座っていた方が息がしやすくなります。
そのため、子どもが無意識に座って息をしている場合などは急性増悪の症状である可能性があります。
受診の目安として、強いぜん息発作のサインがある場合は医療機関を受診した方が良いでしょう。
強いぜん息発作のサインがなくても、子どもが苦しくてなかなか眠れない、気管支拡張薬が手元にない、気管支拡張薬を服用しても改善しない場合は、受診した方が良いと言われています。
ゼーゼーする等の症状があってもぐっすり眠っている場合は、無理矢理起こして薬を服用させたり医療機関を受診する必要はありません。
ただし、その症状に変化がないか定期的に観察することが大切です。
特に気をつけた方が良い症状は、強い急性増悪のサインです。
例えば、生活の様子として遊べない、話せない、歩けない、食事が摂れない、横になれない、眠れない状態です。
また全身の様子として、顔色が悪く爪の色も悪い、話しかけてもぼーっとしている、または苦しくて普段よりも興奮して暴れている状態。
呼吸や脈の様子として、かなり大きな音でゼーゼーしている、息をすると胸の凹みが見える、脈や息がとても速い状態を指します。
このようなサインがある場合は、速やかに救急受診をしていただくことが重要です。
一方、強い急性増悪のサインがない場合は、まずは気管支拡張薬の吸入または内服薬を服用してください。
貼付薬は効き目が遅いため、使わないでください。
吸入薬の場合は15分位、内服薬の場合は30分位で効果が現れるため、薬が効いたか確認しましょう。
症状が改善した場合は、8〜12時間後に気管支拡張薬(吸入または内服、貼付剤もOK)を服用し経過をみてください。
症状が改善したけれど今ひとつスッキリしない場合は、1〜2時間後に気管支拡張薬(吸入または内服)を服用してください。
それでも改善しなければ、医療機関を受診した方が良いでしょう。
吸入薬や内服薬を服用しても改善しなかった場合は、受診することをおすすめします。
ぜん息はアレルギー等で気道が炎症を起こして、気管支が敏感になり、ホコリ・ペットの毛・タバコの煙などの何らかの誘因が加わると症状が出やすくなります。
そのため、ぜん息の症状を抑えるためには誘因を減らすことが重要です。
例えば、家のホコリ、ダニ、ペットの毛、タバコの煙、感染症にかかる機会を減らしたり、アレルギー性鼻炎を改善することが大切です。
さらに気道の炎症が改善しない場合は、急性増悪時だけでなく普段から定期的に長期管理薬を用いて気道の炎症を抑えることが重要です。