小児ぜん息の治療:吸入薬の使い方と日常生活における注意点

小児ぜん息は症状をぶり返すことが多い病気です。 症状を悪化させないためには、吸入薬を正しく使い、ぜん息の状態に合わせた日常生活での注意点に気をつける必要があります。 今回は、吸入薬の使い方、日常生活における注意点について、富山大学 学術研究部 医学系 小児科学講座 教授の足立 雄一先生に教えていただきました。

 

吸入薬の使い方

 

 

吸入薬には3つのタイプがあります。

1つ目は、液体の薬を霧状に噴き出して吸うネブライザー

2つ目は、噴出したガスを吸うpMDI

3つ目は、粉薬を吸入するDPIです。

 

ネブライザーは、小さい子どもから大人まで簡単に吸入できるメリットがあります。

しかし5〜10分間、吸入していなければならないという難点があります。

長時間吸入することに耐えられない場合は、スペーサーと呼ばれるマスクやマウスピース付きの吸入補助器具を用いると小さいお子さんでもpMDIを吸入することができます。

 

幼児(3〜6歳)になるとスペーサーを用いなくてもpMDIをうまく吸入できるようになりますが、うまく吸入できない一部のお子さんにはネブライザーを用いることがあります。

学童(7歳)以上になると粉薬のDPIをうまく吸入することができるため、一瞬で吸入できるDPIを用いることが多いです。

最終的には実際に吸入していただき、うまくできるかどうかを判断して吸入薬のタイプを選びます。

 

吸入の方法

 

吸入手技は実際に目で見て学び、正しく行うことが大切です。

動画(子ども向け: 環境再生保全機構、成人向け: 日本喘息学会など)を見ながら確認したり、病院や薬局で手技をチェックしてもらうことをおすすめします。

 

 

成長に伴うぜん息症状の変化

 

 

乳幼児ぜん息の場合、3歳頃までに発症したお子さんの半数以上が6歳までに軽快すると言われています。

多くの人は成長と共に症状は軽快しますが、激しい運動などでゼーゼーヒューヒューしたり、重症な風邪を引くと症状が誘発されることがあります。

そのため、完治することは少なく、成人になってからぜん息がぶり返してくる場合もあります。

学童期以降まで持ち越したぜん息は、なかなか治りにくく注意が必要です。

 

症状がよくなって完治したと思っても、呼吸機能検査を受けて本当に完治したかを確認することが大切です。

 

 

日常生活における注意点

 

 

ぜん息に罹患していないお子さんがぜん息にならないようにするための予防法は、妊娠中を含めて母親や子どもの周囲でタバコを吸わないことです。

周囲の人がタバコを吸っていると、お子さんがぜん息を起こしやすく、また罹患した後の治療効果を減弱させてしまう可能性もあります。

 

子どもがぜん息に罹患した場合の注意点としては、アレルギーの検査をして原因物質(アレルゲン)を見つけ、ダニ・ペットの毛・花粉等にアレルギー反応がある場合はその原因物質をなるべく減らす対策が必要です。

 

ぜん息に罹患し症状のコントロールがうまくいっていない場合は、症状が徐々に悪化する可能性があります。

例えば、風邪を引いた時、大騒ぎ(大笑い)した時、学校で運動した時に症状が出てしまうため、そのような状況に注意を払い、症状が完全にコントロールされているか確認することが大切です。

 

ぜん息を悪化させないためには、長期管理薬を飲んでいれば症状がないからといって服用を止めず、継続的に服用することが重要です。

 

また、日光に当たって、身体を動かし体力を維持するようにしましょう。

 

 

 

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