小児の便秘症

多くの方が悩まされている便秘症は、大人だけが罹患する病気ではありません。 排便習慣を身に着ける小児期においても、特に注意する必要があります。 今回は、順天堂大学医学部 小児科学講座 工藤 孝広先生に、小児の便秘症についてお話を伺いました。

 

小児便秘の罹患状況

 

 

便秘とは、排便回数や便量の減少、排便がしにくい状態とされ、便秘症とは、便秘による症状が出現し、診療や治療を必要とする状態を指します。

慢性便秘症は、20人に1人から3人の割合で罹患していると言われており、多くの方が便秘による腹痛排便時痛腹満感などのストレスに悩まされています。

小児にも便秘は頻発します。

 

しかし便秘症に関する認識は低く、早期に気付き病院を受診されるケースは少ないと言われています。

排便時に子どもが泣いて腹痛を訴えたり、排便をすごく我慢したりするなどの様子が見られる場合は、すでに便秘症がかなり進んだ状態です。

こうなると便秘症が治るまでに時間が掛かったり、排便様式を変えることが難しくなったりする場合もあります。

 

 

検査~診断について

 

 

便秘症には、基礎疾患が関わっている場合があります。

 

生まれつき腸を動かすために必要な神経節細胞がないヒルシュスプルング病では、腸の蠕動がないために重い便秘症が引き起こされます。

この疾患の鑑別には、バリウムの造影検査直腸の粘液検査が用いられます。

 

その他にも、直腸の診察腹部X線撮影(レントゲン)を行うことがあります。

直腸の拡張があるかどうかも、診断のために大事なポイントです。

X線検査上で直腸が拡張し通常時より大きく、便が溜まるスペースがあると、今まで排便を我慢してきた既往があること、今後も排便を我慢する可能性があることを示唆するため、注意が必要です。

 

小児機能性便秘症の診断には、発症、既往歴、症状の推移や、排便の頻度・便性などといった項目によって分類されるRomeⅣ診断基準が用いられます。

 

 

便秘の原因について

 

 

機能性便秘症の大きな原因のひとつとして、排便の我慢があげられます。

排便を我慢すると便が溜まって硬くなり、排便時の疼痛を引き起こします。

そのためさらに排便を我慢してしまい、便秘症をどんどん悪化させる悪循環を生んでしまいます。

 

2泊3日の旅行に出かけて排便がない程度であれば、通常生活に戻ることですぐに改善しますが、1ヵ月以上続く場合は慢性機能性便秘症ととらえ、検査を行う必要があります。

 

便秘症の悪循環

 

 

 

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工藤 孝広 先生

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