慢性便秘症Part3~慢性便秘症の現在の状況と展望~

内視鏡治療
拡大内視鏡診断
前回は、慢性便秘症の診断と治療、特に薬についてお話をうかがいました。 今回はお薬を使うときや日常生活の注意点、また、便秘の経過や治療などをすぐに共有できるアプリを使っての取り組みなどについて、引き続き、消化器と診断・治療内視鏡クリニック院長 菊池大輔先生に、お話をうかがっていきます。

服薬時の注意事項

基礎疾患に何を持っているかを先生に伝えることは重要です。その中でも一番重要になってくるのは腎臓のデータです。クレアチニンという腎臓のデータは、一つの大きな指標です。このクレアチニンが例えば1を下回ってるのか上回っているかは大事です。1を上回ってるような患者さんは腎機能が少し悪い可能性があります。キードラッグになるマグネシウム製剤が少し使いづらくなるので、自分の腎臓に元々何らかの疾患があるのか、必ず医療機関に伝える必要があります。

 

また、他の疾患などで、痛みどめ、例えば、オピオイドといった麻薬系の痛み止めを使っているような患者さんは、その薬剤のせいで便秘が起こっている可能性があります。なので、この薬剤を使ってますと伝えることが重要です。

 

日常生活の注意事項

繊維質のものを食べる、適度な運動をする、体重を少し減らすということが重要かと思います。排便習慣を変えることに関しては、やはりまず、生活を見直す、つまり、規則正しい生活と食事、特に、繊維質のある食事は重要になってきます。あとは、お腹を少しマッサージするといった、(のの字マッサージ)ことも必要です。また、夏場には脱水ということもおきがちなので、適切な水分量ということも心がけていただきたいです。

 

当院での取り組みについて

当院には、便通異常の患者さんが非常に多く来院しています。その中で、取り組みの一つとして内視鏡診断をするということが、一番のキーになってくると考えています。適切に内視鏡でその基礎疾患を除外する、そのリスクを考える、ということが重要になってきます。ただ、そうした器質的疾患がない、いわゆる機能性の便秘の患者さんは非常に多くなっています。

 

多くの患者さんがいろんな医療機関の後に、当院に来院します。そうした患者さんの状況を適切に把握する、そのために、今現在私達のところでは、便秘プロというアプリを製作しました。それで、患者さんのいわゆる便秘治療の長い歴史や、基礎疾患、現在の状況を一目瞭然でわかるようにしています。また、その患者さんの毎日の排便習慣、便の回数、量、それのみならず、いきみや残便感、そうしたものを数字で見ることができるようなアプリを、当院では日常診療に用いています。

 

今後は、便秘というものをもう少し科学して、どの薬剤を使っていくのか、どんなメリットがあるのかを検証していきたい、そうした中で便秘という状態を脱出できる手伝いができたらと考えます。

本サイトの利用にあたっては、当社の定める利用規約が適用されます。利用規約はこちらからご確認ください。