画像の診断で悪性所見がないか、採血データで甲状腺機能の低下など、ホルモンのバランスの異常がないかということをチェックします。内視鏡などで大腸がんが見つかった、というような場合には適切に大腸外科もしくは消化器内科医で治療することになります。
ただ実際に、便秘の患者さんでそのような基礎疾患もしくは併存疾患が見つかることは、決して多くはありません。そうした場合、機能性の便秘ということで、患者さんに食事、運動といった指導をすることが重要になります。それでもやはりうまくいかないときには内服治療が必要になってきます。
一番キーとなる薬は、「浸透圧性下剤」という、いわゆる便を柔らかくしてスムーズな排便を促すというものです。一番多く使われているのが、マグネシウム製剤で、マグネシウムを使って便の水分量を増やし、排便をスムーズにするものです。同じカテゴリーの中では、近年ですと、モビコールという、PEG製剤というものがあり、こちらも同じように水分を消化管の中に引っ張ってくる効果があります。
ただ決して、それだけで治療がうまくいくというわけではありません。その次の一手をどうするかは、フローチャートの下の段になりますが、上皮機能変容薬もしくは胆汁酸トランスポーター阻害剤といった新薬、現在3種類あるものを使用していきます。どの患者さんにどう使用するかについては、データが残念ながらまだない状況です。しかし、例えば過敏性腸症候群、便通異常だけでなくて、腹痛を伴うような患者さんには、こちらの薬剤が良いのではないかといった、様々な使い分けがあるので、消化器の専門医に相談いただくことをお勧めします。
その他の薬剤としては例えば、プロバイオティクスという酢酸製剤、そのような細菌叢を変えるようなものもあります。
また、キーになるのは漢方で、1剤加えるだけで生活の質がぐっと変わったということで喜んでいただけます。ただこのときも、いくつもの漢方を併用することは控えるべきだと考えます。例えば規制アルドステロン症という病気を発症させる可能性もある薬剤が潜んでいたりしますので、こちらも専門のドクターに確認が必要です。
刺激性下剤、いわゆる消化管を動かす薬剤もあり、非常によく効き、患者さんにとっても非常にメリットのある薬剤です。なので、できるだけ少ない投与量にして、常用して効果が失われるような状況を作らずに、長く使うためには、頓用で使っていくことが重要です。