胃食道逆流症 part3~胃食道逆流症の内視鏡的治療について~

内視鏡治療
拡大内視鏡診断
前回までは、胃食道逆流症とはどのようなものか、内視鏡を使った検査や薬物治療についてお話を伺いました。今回は、内視鏡を用いた治療について、また、受診のタイミングについて、引き続き、消化器と診断・治療内視鏡クリニック 院長の菊池大輔先生に教えていただきました。

胃食道逆流症(GRED)の内視鏡治療

 

 

非薬物治療(お薬を使わない治療)に関してもお話しします。逆流性食道炎の患者さんというのは、少し肥満傾向の強い患者さんが多かったり、高齢の患者さんで、亀背と言って、やや猫背になっている方も、多くいらっしゃいます。そういった患者さんには、より低侵襲治療が求められていて、現在日本では、内視鏡治療が少しずつ普及していっているような状況です。

 内視鏡治療を行うと、必ず切除した場所には、だいたい4週間ぐらい経つと瘢痕と言って、傷あとが残って、狭くなるところができます。その瘢痕を作って、瘢痕拘縮(傷跡ができて縮こまる)で狭くなる、ということを逆手に取って、食道胃接合部のところの逆流防止をするという治療方法が行われています。実際には、Armsと言って、そこの食道胃接合部の胃側のところを、粘膜切開・切除することで、3~4週間後に瘢痕が拘縮してきて、食道胃接合部の形態が変わり、そして逆流が予防できるという治療法です。もしくは、ESDの手技を用いたESD-G、こちらは少し食道側の切開をメインとする方法ですが、そうしたやり方で狭窄を作るということで、逆流を予防する、という治療が現在日本では行われるようになってきています。

 

 

受診すべきタイミングは

多くの患者さんが、胸焼けとか、胃がもたれる、とかの煩わしい不快感で悩んでおります。そうした時には、まず一度、やはり医療機関にかかるということをお勧めします。内視鏡検査というのは、あまり受けたくないという患者さんは非常に多いかなとは思います。ただ、一度受けていただいて、その患者さんがどのようなリスクを持っているのか、を知るのは良いかと思います。

 

例えば、胃にピロリ菌がいるような患者さんや慢性胃炎があるような患者さんは、逆流性食道炎にはなりづらい。逆に胃がすごく綺麗で胃酸分泌が強い、そういう患者さんは逆流性食道炎になりやすいというようなことになります。なので、症状があった場合には一度行って、そして細径内視鏡といって、細い内視鏡を鼻に通して入れて検査することで、非常にある意味苦痛を少なくできるので、一度受診をされるのがよいと思います。

そしてリスクをしっかりとわかっていれば、そのあと闇雲に一年に一回絶対に受けなければいけないという検査ではありません。ですから、まずは一度受けていただいてご自身の持っているリスクをしっかりと層別化してから、その後のフォローアップということは、専門医とよく相談していただけたらと思っています。

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