小児便秘の薬物療法

前回の記事では、小児の便秘を予防するために必要なモニタリング、食事・生活習慣についてご紹介しました。 加えて、悪循環を繰り返す便秘に対しては、適切な薬物療法を用いることも大切です。 今回は、順天堂大学医学部 小児科学講座 工藤 孝広先生に、小児便秘に対する薬物療法についてお話を伺いました。

 

薬物療法における選択肢

 

 

乳児期の便秘に対しては、麦芽糖によって浸透圧を起こして腸を刺激し、蠕動を促して排便させるマルツエキスを用いることが多くあります。

 

また、硬い便に対しては、便を柔らかく作ることを助ける酸化マグネシウムが有効です。

同じような薬にラクツロースというものもあり、水分を多く腸管内に引き込むことによって便を硬くしにくくすることができます。

これらは浸透圧性の下剤であり、小さい子どもにも投与しやすいものです。

 

ポリエチレングリコールという薬は、世界的に便秘に対する第一選択薬となっています。

腸管から吸収されずにそのまま大腸に移行される薬であり、副作用もほぼなく2歳以上の子どもの便秘に対し非常に高い効果が得られるため、積極的な投与が可能です。

 

ピコスルファートナトリウムという刺激性下剤に関しては、蠕動を促して排便させるため腹痛が強く出てしまいます。

子どもの場合、便塞栓がある場合には使用しません。

まずは便塞栓を解除したうえで薬を用いるのが良いでしょう。

 

排便を我慢してしまい便秘の悪循環がひどい状況であれば、一時的に浣腸・座薬に頼らざるを得ないこともあります。

浣腸や綿棒刺激によって定期的な排便を促し、排便に対する恐怖が少しでも軽くなったうえで、内服薬に移行していく場合もあります。

 

 

工藤先生から、ご視聴いただいた皆様へ

 

 

一般的に、便秘は軽く見られてしまうことが多くあるため、まずは排便をチェックするところから、便秘への認識を深めることが大切です。

排便チェックにより、便秘の悪循環が予防できることもあります。

 

トイレットトレーニングに関しては、例えば3歳になった時点で皆がオムツをとれるというような認識の方もいらっしゃるかもしれませんが、中々そう順調にはいかない子どももいて、個人差がとても大きいところであるという認識を持っておくことも重要です。

 

2~3歳で上手に排便ができなかったり、トイレでの排泄が難しかったりした場合でも、しょうがないと捉えてあげてあまり責めないようにすることや、できた時に劇的に褒め称えてあげて子どもを調子に乗らせるようにすることによって、スムーズに排便したいと思えるような環境に置いてあげるのが良いでしょう。

 

 

 

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