ロタウイルスワクチンは口から飲むタイプのワクチンです。
注射などのように痛みを生じないため使用しやすく、ロタウイルス胃腸炎の重症化を予防することが期待できます。
ロタウイルスワクチンには2種類あります。
1価のワクチンは、最も流行しやすい1種類のロタウイルスから作られており、出生24週までに2回接種します。
5価のワクチンは、5種類のロタウイルスから作られており、出生32週までに3回接種します。
どちらのワクチンを打っても予防効果に明らかな差はありません。
生後2ヶ月頃からワクチン接種を開始しますが、副作用を抑え安全に接種していただくために、初回接種は生後14週6日までに終えるようにしてください。
ロタウイルスワクチンは2020年10月より任意接種から定期接種へ変更されました。
接種費用は定められた期間内であれば無料で受けられます。
日本国内でロタウイルスワクチンの接種率は徐々に増加しています。
新潟県新発田市の接種状況を調べた調査では、接種率は2011年では32.9%でしたが、年々増加し2017年以降は80%代を保っています。
そして、定期接種に変わった2020年以降は94%前後となっています。
この調査結果は、日本国内の状況と一致していると言えるでしょう。
先ほどの調査では、ロタウイルス胃腸炎にかかられた方のうち、外来での点滴施行数と入院数も報告されています。
年1000人あたりの割合では、ワクチン導入前は外来での点滴施行率は77.1%、入院率は5.2%でしたが、ワクチン導入後は両方の割合が明らかに減少しました。
定期接種となった2020年以降は2シーズンのみの調査結果ですが、外来での点滴治療と入院をしたお子さんはお一人もみられていません。
この調査結果から、ロタウイルスワクチンによって点滴治療や入院となる方が減少しており、重症化の予防効果があると言えます。
ロタウイルスワクチンの副作用として1つ懸念されるのが腸重積です。
腸重積は、腸の一部が隣接する腸の中に入り込んでしまうことから、腸の血流が悪くなり何らかのダメージを起こす病気です。
症状には、血便、激しく泣く、良い機嫌と不機嫌を繰り返す、嘔吐などがあります。
腸重積はもともと1歳未満、特に乳幼児後半に多く起こる病気です。
1歳未満のお子さんのうち腸重積の発症数(10万人・1年あたり)をみると、ロタウイルスワクチン導入前は92.2例でしたが、導入後は83.4例であり、ワクチン接種導入後に増えてはいませんでした。
現在のところ、日本国内でロタウイルスワクチン接種後に腸重積となった方のうち、死亡例はありません。
ワクチン接種後の腸重積は、初回接種後1〜2週間以内に多く起こると言われているため、その期間にお子さんの体調をよく観察するようにしてください。
ワクチン接種後に血便、激しく泣く、良い機嫌と不機嫌を繰り返すなどの症状があれば、速やかに医療機関を受診してください。