ここ20年間で日本人の胃酸分泌量自体が多くなってきていると報告されています。
原因としてはヘリコバクター・ピロリ菌の感染率の低下です。
ヘリコバクター・ピロリ菌は井戸水に生息しており、井戸水を飲み水としていた昔の日本人は感染率が多かったとされています。
ヘリコバクター・ピロリ菌は胃に感染するとされ、胃の粘膜障害や胃酸分泌減少を引き起こします。
現在では、生活水の供給源が井戸水から水道水に変わったことや、ヘリコバクター・ピロリの除菌療法が確率されているなどの理由から、ヘリコバクター・ピロリによる慢性的な感染自体が低下してきているとされています。
1つ目は食道裂孔ヘルニアです。
これは胃が食道側にずれてしまう疾患で、この疾患によって食道内の胃酸暴露時間が増加するだけでなく、逆流した胃酸が食道側から胃へ戻りにくくなるので余計にGERDのリスクが高くなるとされています。
もう一つが肥満です。
肥満自体が胃酸の分泌量を増加させ、食道への逆流リスクも上昇させるとされています。
特に肥満における食道への逆流はBMIの上昇と共に食道内の胃酸の暴露時間が上昇するとも言われています。
GERDは患者の呑酸や胸やけといった症状があった場合に、内視鏡を行い診断を行います。
食道の粘膜障害があればもちろんGERDと診断でき、その食道の状態に応じて重症度を判定します。
また、食道に炎症がない場合は非びらん性逆流性食道炎の診断になります。
非びらん性逆流性食道炎では食道での胃酸暴による障害がほとんどなく、胸やけ・呑酸への感受性が上がっている状態です。
GERDは肥満など生活習慣からくるものが多いです。
そのため、GERDでは生活習慣の見直しからはいります。
薬物治療としては「重症性逆流性食道炎」「軽症逆流性食道炎」「非びらん性逆流性食道炎」の3つに分かれており、どれも胃酸分泌を少なくする薬を使用します。
重症であれば「タケキャブ」という胃酸分泌阻害薬の中でも強めの薬を使用します。
胃酸分泌阻害薬をしても改善を見込めない場合は、補助治療として消化管の運動を亢進させるような薬を使用することもあります。