アルツハイマー型認知症について

「認知症」と一言で言っても、実際には様々なタイプの認知症があります。 今回は、特に認知症の中で多いとされている「アルツハイマー型認知症」について、どのような病気か、症状やどのくらいの人がなっているなどについて、関西医科大学 神経内科学講座 主任教授 藥師寺 祐介先生にお話を伺いました。

 

アルツハイマー型認知症の疾患概要

 

 

アルツハイマー型認知症というのは、認知症の病気の中で一番多い病気です。

全体の大体30~40%がアルツハイマー型認知症というふうに考えられています。

 

アルツハイマー型認知症の原因はまだよくわかっていないのですが、脳アミロイドβいうタンパク質とタウタンパクの二つが鍵と考えられています。

これが脳の中に溜まってくると毒性を発して神経細胞が死んでいく、つまり脳が縮んでいくということで、いろいろな障害が出てきます。

例えば、物忘れ、いろいろなことができなくなる、性格変化などが進行していくと、それまでの日常生活ができなくなり、在宅での生活が困難になっていくという経過をたどります。

 

アルツハイマー病とその病態

 

 

アルツハイマー型認知症の罹患状況

 

 

アルツハイマー型認知症を含めた認知症の病気というのは、大体65歳以降に増えてきます。

1950年ぐらいまでは、日本も平均寿命は大体60歳代だったので、高齢者は多くありませんでした。

今65歳以上は4人に1人の超高齢化社会ですので、その中から認知症になっていく人が増えていきます。

絶対数が増えるので、九州大学・厚生労働省が協力して試算した研究によると、2025年には大体500万人がアルツハイマー型認知症になっている、という結果がでています。

国民1億人とすると20人に1人がアルツハイマー型認知症に罹患するという試算で、それが大体2040年・2060年と試算されていて、少しずつ増えていくと考えられています。

 

年齢階層別認知症有病率

 

 

アルツハイマー型認知症の症状

 

 

さっき言ったことを忘れる、という、専門的に言うと近時記憶障害とかエピソード記憶障害というのがあります。

 

単なる加齢による物忘れというのは、例えば、家族で旅行したときのエピソードは部分的に思い出せる状態だけど、ヒントを出していくと大体全部思い出す、というようなものです。

でもヒントを出しても思い出せないというのが、アルツハイマー型認知症です。

初期はそういうことで鑑別していきます。

 

認知症の定義

 

その後1年ぐらい経ってくると、難しいことができなくなったり、家事の一連の作業のどこかでミスをする、というふうになってきます。

 

さらに進行すると、簡単なことができなくなる。

買い物でミスをするとか、お金の管理ができなくなる。

そういった段階になると、大体患者さんの家族は病院に連れて行きます。

 

さらに進行期と言われる時期になると、性格の変化精神症状、怒りっぽくなったり、元気がなくなるということがでてきます。

 

それから、介護者が通帳や印鑑を取ったとか、そういう被害妄想的なことを言い出すようになって、家族が非常に心を痛めるような言動がでてくると、在宅で過ごすことが難しくなります。

それを大体発症から4、5年で迎えるという結果になります。

 

アルツハイマー型認知症の具体的な経過

 

 

 

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