心不全とは、心臓に何らかの異常があり、全身に血液を送り出すポンプの働きが悪くなってしまう状態のことです。
息切れや浮腫みといった症状が現れ、悪化していくと寿命を縮めてしまうことにつながります。
高血圧や狭心症・心筋梗塞、心臓の中で扉の役割をする弁の働きが悪くなる弁膜症など、さまざまな疾患が心不全を引き起こす原因となるのです。
近年、日本では高齢化が進んでおり、高血圧や弁膜症など心血管系疾患の増加に伴い、心不全の患者さんも年々増加しています。
現在約120万人の心不全患者さんがいて、年間約1万人ずつ増えているとも言われています。
高齢化の一途をたどる日本では、およそ2040年まで患者数は増えるのではないかと予測されており、この状況は「心不全パンデミック」と呼ばれています。
心不全では、心臓のポンプ機能が低下しており、全身に十分な血液が送られず、肺や腎臓といった臓器をはじめ、身体が酸素・栄養不足の状態に陥ります。
そのため、よくある症状として息切れや疲れやすさ、水分の排出がうまくいかないことによる浮腫みや体重増加が生じます。
これらの症状は多くの場合軽症であらわれ少しずつ悪化していきますが、突然の呼吸困難感を主訴に救急で来院され、そこで心不全と診断される場合もあります。
心不全の診断のためには、さまざまな検査が用いられます。
①血液検査
心臓に負担が掛かった時に心臓から出てくるナトリウム利尿ペプチドというホルモンが高値であるかどうかを調べます。
②レントゲン
心臓に負担がかかると、心筋が厚くなり心肥大という状態を呈する場合があります。
また、心不全が重症化すると肺に水が溜まります。
レントゲンでは、心臓の大きさや胸水の有無を調べることができます。
③心電図
心筋や、心臓をリズムよく動かすための電気伝道系統に異常が出ていないかを調べます。
④超音波検査
胸部にエコーを当て、直接心臓の動きを確認する検査です。
心臓がどのくらい動いているか、心臓の中の血流が低下していないか、どれ程負担がかかっているかなどを調べます。
このような検査を組み合わせ、心不全の程度・原因がどのようなものなのか診断し、治療方針を考えていきます。