高齢化の一途をたどる日本では、心不全パンデミックという呼び名の通り、高齢の心不全患者さんが増えてきています。
それに伴い、患者さんは体力が低下していて通院するのも難しい場合も多くなってきている現状があります。
最近では、そのような患者さんに対して、訪問診療で地域の先生に診察してもらうケースもあります。
患者さんの変化に早く気付き、地域から速やかに病院受診、治療につなげることで、心不全の悪化を防げる可能性が上がります。
訪問診療は、患者さんのQOLという点、住み慣れた地域で過ごしたい、ゆくゆくは自宅で最期を迎えたいという希望を叶える点においても大きなメリットがあります。
患者さんのニーズに応じて、求めるケアを提供するうえでは、院内の心不全チームから地域の心不全チームへ、多職種を巻き込んで連携を強めていくことが、患者さんと家族の満足度を高めるために非常に重要です。
40・50代の頃から高血圧・糖尿病・肥満など生活習慣病に罹患すると、20年から30年後に心不全になりやすいことが報告されています。
高血圧を放置していると、心不全の発症率が非常に高くなってしまいます。
既に治療中の方であれば、定期的な通院や、毎日の服薬を継続し、血圧の管理をしっかり行っていただくことが重要です。
高血圧と併せ肥満と糖尿病に関しても同様に、減塩に注意し、糖分を摂りすぎず、バランスのとれた食事を心がけましょう。
適度な運動も、血圧、糖尿病、肥満の管理に有効です。
また、喫煙はがんのリスクになるだけではなく、心筋梗塞・心不全についても大いにリスクになり得るため、禁煙は特に重要です。
アルコールは、少量たしなむ程度であれば問題ありませんが、過度なアルコール摂取は心臓にとって毒となるので控えた方が良いと言われています。
歳をとるのと共に、心不全罹患率はどうしても高くなってしまいます。
歳をとることを防ぐことはできませんが、普段から一般的に言われる「健康的な生活」を心がけることが将来の心不全予防に繋がっていくことを、しっかりと覚えておきましょう。