心不全とは?症状や種類について解説

心臓がうまく機能しなくなることで息切れや足のむくみなどの症状を引き起こす心不全。 高齢化により患者数は増えており、進行すると生命にかかわる病気です。 今回は心不全とは何か、群馬大学医学部附属病院 循環器内科 小保方 優先生にわかりやすく解説いただきました。

心不全の疾患概要

心不全とは心臓に何らかの異常が起こり、心臓のポンプ機能が低下して血液を十分に送り出せなくなる状態です。心臓から全身に酸素や栄養をうまく運べなくなるので、息切れ・倦怠感・浮腫(むくみ)が出現します。

心不全は病名ではなく、心臓の状態を表す病気の概念です。

 

心不全の初期症状には、主に労作時の息切れとむくみがあります。たとえば、階段を2階まで上がると息切れして会話が少し途切れてしまったり、両足のスネがむくみ、押すと跡が残ってしまったりするのが特徴です。

 

息切れは一般的に高齢者に多くみられる症状であり、息切れしないように行動を制限してしまうため、心不全の初期症状と見極めるのが難しいことがあります。初期症状に気づかないまま心不全が進行してしまう患者さんも少なくありません。

 

数ヶ月前に普通にできていた動作ができなくなった、息切れや疲れが出やすくなったと感じたら、早めに医療機関を受診してください。

 

心不全の罹患状況

現在、心不全の患者数は120万人ほどいて、日本人口の約1%に該当します。

高齢化に伴い、心不全の患者数は大幅に増加しており「心不全パンデミック」と呼ばれています。患者数は今後も増えていくと予想されているため注意が必要です。

 

心不全の種類

心不全には右心不全左心不全があります。

さらに左心不全は、左心室の動きによって大きく2種類に分けられます。

 

1つは「左心室の動き(駆出率)が悪い心不全(HFrEF)」です。これは比較的若い人〜高齢者にみられ、男女比は同じくらいの割合で発症し、心不全の約40%を占めています。

既往歴に心筋梗塞・拡張型心筋症・抗がん剤の使用・心筋炎などがあると起こりやすくなります。

 

もう1つは「左心室の動き(駆出率)が正常な心不全(HFpEF)」です。これは高齢の女性に多くみられ、心不全の約60%を占めています。

既往歴に糖尿病・高血圧・心房細動・肥満などがあると起こりやすくなります。いわゆる生活習慣病がリスクになっており増加傾向にありますが、息切れなどの症状が現れにくいのが特徴です。

わずかなサインを見逃さずに早めに対処することが重要です。

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