HPVワクチンは、2価・4価・9価と、予防できるウイルスの数や種類により3種類に分類されます。
日本で定期接種となっているのは2価と4価のHPVワクチンです。
2価HPVワクチンはHPV16型・18型という2タイプの感染を防ぎ、子宮頸がんの6割から7割を予防することができると言われています。
4価より先に発売されたもので、HPVワクチンが定期接種となった2013年当時は2価ワクチンが使用されていました。
一方、4価HPVワクチンは、2価の効果に加えHPV6型・11型の予防効果を有します。
現在、2価HPVワクチンとともに定期接種として用いられています。
男女区別なく罹患し生殖器付近の粘膜に良性のイボが発生する、コンジローマという性感染症を防ぐことも可能です。
HPVワクチンは、一定間隔をおいて計3回の接種が必要です。
1回目・2回目に2価HPVワクチンを接種した方は、3回目も同じ2価HPVワクチンを接種することが推奨されています。
異なるワクチンを接種しても安全性に問題はありませんが、厚生労働省は効果の安定性などを踏まえ、同じワクチンを接種することを推奨しています。
9価HPVワクチンは現在無料接種対象にはなっておらず、自費接種とされています。
施設ごとに価格設定が異なり、計3回の接種に7万円から10万円ほどかかる現状があります。
また、現在日本で男性への任意接種が可能なのは4価HPVワクチンだけです。
9価HPVワクチンは、2価・4価HPVワクチンより子宮頸がんに対する高い予防効果があることが報告されています。
2価・4価HPVワクチンでも、性交渉開始前に接種することで60%から70%程度予防できることが分かっていますが、9価HPVワクチンは95%以上を予防すると推計されています。
アメリカやオーストラリアでは、男女区別なく平等に9価ワクチンが定期接種されており、若い年代では2回接種で済むこともあって、日本は世界に接種率や予防効果の高さで大きく差をつけられています。
宮城先生は昨今のコロナ禍において、国民の多くが新型コロナワクチンを接種したことや、ワクチンの接種率についてメディアが大々的に取り上げたことが、HPVワクチンへの理解にもつながっていくのではないかと考えられています。
100%効果があって副反応が0であるワクチンなどありえないということや、人口の一定割合以上の人が免疫を持つことで感染症の流行が押さえられる集団免疫という状態について、一般の方にも理解が広まることは、今回のHPVワクチン定期接種における仕切り直しにとっても非常に大きなメリットがあるといえるでしょう。