すい臓がんの症状とリスク因子。急に糖尿病になったら注意。

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すい臓がんは、「難治性のがん」として知られています。その大きな要因に、早期発見の難しさがあります。すい臓がんの4割がステージ4で見つかっているとの統計もあるほどです。初期には自覚症状がほとんどないすい臓がんを早期発見するにはどう気をつければよいのか――、福山市民病院 内視鏡診断・治療センター長の植木亨先生にうかがいました。

特徴がないのがすい臓がんの特徴

多くのがんにおいて5年生存率が高まり、治るがんも増えているなか、生存率が上がらないのが「すい臓がん」です。

 

がんは、基本的には手術をしなければ治りません。

ところが、すい臓がんは、初期には症状がほとんどなく、見つかったときにはすでに進行していて手術をできないことが多いのです。

 

すい臓は背中側にありますので、進行すると、背中が痛い、腰が痛い、胃が痛い、お腹が痛い、食欲がない、お腹が張る――といった症状がみられますが、どれもよくある症状ですよね。

つまり、特徴的な症状が出にくいのが、すい臓がんの特徴なのです。

 

図)すい臓の場所

 

 

こういうときには、すい臓がんを疑う

たとえば、胃が痛くても、「すい臓が悪い」とは思わないでしょう。

でも、胃の検査を受け、胃薬を飲んでもなかなか良くならないときには、そのまま様子を見るより、すい臓も疑ってほしいのです。

 

また、すい臓は、血糖値を下げる働きをするホルモン「インスリン」を分泌しています。

 

急に糖尿病になった、あるいは、もともと糖尿病を持っていた人が食事に気を付けて薬もしっかり飲んでいるのに急に悪化したときには、すい臓に原因が隠れているかもしれません。

実際、そういうケースですい臓を検査すると、初期のすい臓がんが見つかることは多々あります。

 

糖尿病の人は、糖尿病ではない人よりも2倍すい臓がんになりやすいと言われています。

 

私の病院でも、すい臓がんが見つかった患者さんの約6割が糖尿病または糖尿病予備軍(境界型糖尿病)です。

 

表)すい臓がんのリスク因子。糖尿病では1.94倍になる

 

 

すい臓がんのリスクを20倍高めるものとは?

また、あまり知られていませんが、すい臓がんのリスクを最も高めるのが、すい臓にできた「のう胞」です。

のう胞とは、内部に液体がたまった袋のこと。

 

のう胞の多くは良性で、良性であればすぐに治療が必要なわけではありません。

しかし、すい臓にのう胞がある人は、すい臓がんを発症するリスクが20倍高いことがわかっています。

ただし、20倍と言っても1年間のうちに発症する確率で言えば1%ほどですから、すい臓にのう胞のある患者さん100人を毎年チェックすると、1人にすい臓がんが見つかるということです。

 

表)すい臓がんのリスク因子。のう胞のある患者さんでは年間1.1%~2.5%程度にすい臓がんが見つかる。

 

 

私の病院では150~200人の方を経過観察していますが、やはり毎年1、2人にすい臓がんが見つかります。

そういう方は、「お腹が痛い」「背中が痛い」といった症状が出てから来られる方に比べて、手術も可能な早いステージで見つかることが多いです。

 

すい臓にのう胞ができていてもほとんど自覚症状はありませんが、腹部エコーを受ければ見つかります。

健康診断や人間ドックで「のう胞がある」と言われたら、症状はなくても必ず病院で定期的に検査を受けてください。