子宮がん治療におけるロボット支援下手術、その普及のための取り組みとは?

低侵襲
ロボット手術
ロボット支援下手術はまだまだ普及しておらず、実際に国内でロボット手術を行える施設は限られています。ロボット支援下手術は先進的な方法ですが、同時に患者の安全性も保障しなければならないため、導入には慎重な姿勢が必要であり、手術を行える医師や施設は一足飛びに増加していかないのが現実です。ロボット支援下手術を導入するために必要なステップや、普及させるためにどのような取り組みがなされているのか、また子宮がんの予防と対策などについて、鹿児島大学病院・産科/婦人科の小林 裕明先生に教えていただきました。

 

ロボット支援下手術の普及活動:厳しいトレーニングをクリアした医師・施設のみが行える手術

 

 

各施設がロボット手術を保険適用で行う際には、実際に手術を行う医師たちが必ずトレーニングを受けなければなりません。

そのトレーニングの中には手術の見学という条項があり、見学をすることで証明書が発行され、その後、豚を使用したアニマルトレーニングを行います。さらにそれをクリアした後、自施設でシミュレーション手術を行う、という流れのプログラムになっています。

 

 

このようなトレーニングプログラムの中で、見学施設で実際に手術を行う医師をメンターと言います。メンターの資格を持つ医師はまだまだ少なく、最新機種のロボット支援下による手術の見学を受け入れているメンター医師は、小林先生を含めて国内に2名しかいません。

ロボット支援下手術を普及させていくためには、メンター医師の増加が必須です。これからは、メンター資格を持つ医師の養成にも尽力していく必要があります。

 

トレーニングを経て実際に患者の手術に当たる場合、子宮体がんであれば10例、患者に費用を負担させることなく病院負担で手術を行うことが決められています。ここで医師たちの技術と施設の安全性が確かめられた上で初めて保険診療が許可されます。

 

ただし、10例の試験的な手術の際には、指導者である医師が呼ばれることが原則となっており、この指導者をプロクターと言います。プロクターは色々な施設に赴いて、その施設における最初の数例を実際に見て、トレーニングの成果が正しく身につけられているか、施設の安全性は担保されているか、などをチェックします。これらのプログラムは全て患者の安全を担保するために行われるのです。

 

 

現在、プロクターとして認定されて実際に活動している婦人科の医師は全国で9名しかいません。どのような方法をとるにせよ、プロクターの人数を増やして各都道府県にプロクターが配置できるような状況まで持っていかなければ、安全なロボット支援下手術の普及は見込めない、と小林先生は言います。

 

「日本婦人科ロボット手術会」という会を立ち上げた小林先生たちは、安全なロボット手術普及に向けて、期待される情報を提供しています。

また、「日本ロボット外科学会」という外科系全体の学会でも活動を行い、ロボット手術の普及に尽力している、ということです。

 

 

ロボット手術と腹腔鏡下手術の住み分け:悪性腫瘍の治療において住み分けが明確に

 

 

ロボット支援下手術と腹腔鏡下手術はかなり似通った手術方式ですが、その住み分けが今後、最も顕著になっていくのは、悪性腫瘍(がん)の手術であると予想されています。

 

現在、国内でロボット支援下手術を保険診療で提供できる施設は30施設程度であり、今後どんどん増えていくと考えられます。数年後には各都道府県に最低1施設、ロボット支援下手術が可能な病院ができるだろうという見通しです。

 

 

子宮がんの予防と対策:子宮頸がん予防ワクチンは必須!がん検診も定期的に受診を

 

 

子宮がんの予防の1つである子宮頸がん予防ワクチンは、子宮頸がんだけでなく、前がん病変をも回避することが出来る、非常に重要な予防策です。

現在、そのワクチンがほとんど接種されていない状況であることは、非常に残念です。定期接種への積極的な案内が望まれます。

 

また、子宮がん検診でがんになる前の病変を見つけることができれば、子宮頸部の円錐切除術やレーザー治療等を行うことで、安全に将来の妊娠・出産を可能にします。

 

 

婦人科がんの各治療ガイドライン

 

 

子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんについてのガイドラインは3年おきに改訂されており、患者にも分かりやすい平易な言葉で書かれた患者向けのガイドラインも作成されています。

 

このような情報はこれからも積極的に医師たちから発信されることが大切ですが、インターネット等で正しい情報を自分で集める事も大切になります。