初期の子宮頸がんはほとんど症状が無いケースが多く、偶然がん検診に行った際に発見されることが多いようです。
また、進行期(Ⅲ期以降)になった見つかるケースでは、不正出血が長期間続いたにも関わらず放置して、貧血などで受診して子宮頸がんだと発覚することパターンが多いと言います。
月経期以外での出血があれば、すぐに専門の医師に相談しましょう。
子宮頸がんの検診では、通常細胞診が行われます。
子宮頸部表面を特別な器具で擦って細胞を採取し、それをプレパラートに塗布して顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を診断します。
これだけでは確定診断には至らないため、さらに子宮頸部をコルポスコープという拡大鏡で観察して、実際の組織を仔細に診ることで、確定診断を行います。
確定診断が為された後は、どの程度がんが進行しているのかを判断するために、CTやMRIなどを撮影して画像診断を行います。
センチネルリンパ節とは、腫瘍がリンパ節転移を起こす時に一番最初に転移するリンパ節のことを指します。
このリンパ節を、転移の有無を判断する際の”見張り役”として利用することがあります。
センチネルリンパ節の検査を行い、そこに転移がなければ、それ以降のリンパ節には転移していないだろうと推定することができるため、不必要なリンパ節の切除を省略することができます。
がんの切除手術の際には、周囲の所属リンパ節への転移、さらに全身の臓器への転移を防ぐために、周囲のリンパ節を事前に切除することが多いですが、これをリンパ節郭清と呼びます。
リンパ節郭清を行うと、そのリンパ節から先のリンパ液の循環が悪くなるため、リンパ浮腫を引き起こします。
また、出血や神経損傷のリスクもあります。
このため、センチネルリンパ節の検査によって、リンパ節郭清を省略できれば、このような後遺症のリスクを軽減して手術をすることができます。
センチネルリンパ節の生検によるリンパ節転移の有無の判断は、報告によって様々ですが、概ね陰性的中率が良いとされています。
また、センチネルリンパ節の検査方法にも様々あり、どの方法が患者にとってベストなのかは決定されていません。
ただし、小林先生は、センチネルリンパ節への転移が陰性であったとしても、他のリンパ節への転移の可能性を完全に排除しきれるわけではなく、長期的・集学的な成績がまだ報告されていないため、一般的に行うにはまだ早い状況である、と言います。
ごく一部の症例経験が豊富な施設では、センチネルリンパ節生検の結果を元にリンパ節郭清の省略を始めているというのが現状です。
リンパ節郭清の省略が、本当に患者の予後に対してプラスなのかどうかについては、まだ定かではない、と言われています。