子宮体がんの腹腔鏡下手術:選ぶメリットと適用の疾患ステージは?

内視鏡治療
子宮は女性の骨盤内にある臓器で、体部と頚部に大きく分けられます。この「体部」にできるがんが子宮体がんです。自覚症状としては出血があり、排尿時に下腹部に痛みを感じる人もいます。子宮体がんの患者さんは近年増加傾向にあり、40歳代から徐々に罹患率が増え、50~60歳代がピークと言われています。 今回は、子宮体がんの病期(ステージ)の分類や、子宮体がんの具体的な治療法、さらに腹腔鏡下手術を行うメリットなどについて、神戸大学医学部付属病院・産婦人科の寺井 義人先生に教えていただきました。

子宮体がんの病期分類:ほとんどがⅠ期の早期がん、遠隔転移があれば進行期に

 

 

子宮体がんは近年増加傾向にありますが、子宮体がん自体は子宮の筋層で覆われているという点から、比較的治りやすい がんに分類されます。

子宮だけに留まっている場合をⅠ期、子宮頚部までがんが浸潤した場合をⅡ期、卵巣等に転移した場合はⅢ期、またリンパ節転移があった場合はⅢC期となります。

 

さらに、腹膜や遠隔臓器への転移が認められた場合にはⅣ期、いわゆる進行期となります。

 

 

子宮体がんの進行度(ステージ)

 

 

子宮体がんの治療法:グレードによって適用される治療法が異なる

 

 

子宮体がんの場合、子宮の筋肉に守られているため、半数を超える症例がⅠ期の状態で見つかります。

ただし、手術の術式を決定するに当たっては、同じⅠ期であっても、筋層の浸潤の程度やがんの組織型の種類によって変わってきます。

 

同じがんであっても再発しにくいのは、高分化型~中分化型といった、グレード1~グレード2のがんです。

また、筋層への浸潤が2分の1未満であれば、ほとんどのケースで、子宮と卵巣の手術、その後の骨盤リンパ節の郭清で治療が終了します。

 

 

子宮体がんは同じⅠ期でも、低分化型(グレード3)と呼ばれるタイプや漿液性がん・明細胞がんなどの特殊型では、早期であっても再発・転移が起こりやすいと言われています。

したがって、これらのタイプの症例では、骨盤だけではなく、傍大動脈リンパ節郭清が必要になります。

 

ステージがⅡ期になると、子宮頚部までがんが浸潤している状態です。

頻度としてはそれほど多くはありませんが、転移・再発の可能性はⅠ期よりも高くなります。

そのため、特に子宮頚部の周辺を手術時に削らないように、広めに取り去る必要があります。

 

この場合、準広汎または広汎子宮全摘出術と両側の卵管・卵巣の付属器摘出術、骨盤の傍大動脈リンパ節郭清術を行います。

 

 

子宮体がんの切除範囲

 

 

子宮体がんの治療における腹腔鏡下手術のメリット:術後は早期に回復可能、合併症リスクも低減

 

 

子宮体がんの治療を行う上で、腹腔鏡下手術を選択するメリットとしては、まず術後の回復が早いという点が挙げられます。

腹腔鏡下手術では、術中は拡大鏡で病変部を見るため、細部まで拡大して、直接確認しながら手術を進めることが出来ます。

これによって、出血量は減少し、さらに繊細な手技も可能になりました。

 

 

また、患者さんへの侵襲が少なくなるため、術後の痛みも少なく、腸閉塞などの術後合併症がほとんど起こらなくなります。

多くの患者さんが、術後1週間以内に退院できる手術となっています。

 

 

一方、現在の保険適用上、子宮体がんにおける腹腔鏡下手術の適用は、グレード1・グレード2のような、高分化型・中分化型の再発しにくいタイプで、子宮の筋層への浸潤が2分の1未満といった、ごく浅い浸潤のケースに限られています。

グレード3の低分化型、または漿液性がん・明細胞がんといった、転移しやすいケースの場合には、骨盤内リンパ節郭清以外に傍大動脈リンパ節郭清が必要になりますが、腹腔鏡下手術が保険適用外となっています。

 

しかし、2017年に適用を取得した「先進医療A」の分類では、適用が可能です。

 

 

後腹膜リンパ節郭清