肝臓がん、5年生存率の高い治療法とは?

マイクロ波焼灼療法
肝臓がんは、手術、局所療法、カテーテル治療……など、治療法の選択肢がとても多いがんです。そのなかからどのように治療法を選択すればいいのでしょうか。 局所療法の一つである「マイクロ波凝固療法」を中心に、肝臓がんの治療法の選び方について、九州医療センター 肝臓センターの高見裕子先生に教えていただきました。

 

肝臓がんの治療法

 

 

肝臓がんの治療法には次のようなものがあります。

 

・肝移植

・肝切除(手術)

・穿刺局所療法(ラジオ波焼灼療法、経皮的エタノール注入、マイクロ波凝固療法)

・カテーテル治療(肝動脈化学塞栓療法、肝動脈塞栓療法、肝動脈化学療法)

・薬物療法(分子標的薬)

・放射線治療

 

これらのなかから、がんの条件――つまりはがんの大きさ、場所、個数と、肝機能を考慮しながら、確実な治療法から順に選んでいく必要があります。

 

 

「マイクロ波凝固療法」とは?

 

 

マイクロ波凝固壊死療法

 

 

そのなかで、マイクロ波凝固療法は、がんの部分のみをマイクロ波で焼く治療法です。

がんができている場所に応じて、お腹または胸を開き、直接肝臓にエコーを当てて、がんができている部分を確認しながら、一つひとつ針を刺して焼いていきます。

 

 

九州医療センターの肝臓がん治療戦略

 

 

マイクロ波凝固療法を行うにあたって、がんの個数や肝機能についてはとくに制限はありませんが、がんがあまりに大きいと全部焼き切れなかったり、焼けても化膿してしまったりする可能性があるため、大きすぎる肝臓がんには適しません。

先日データを取ったところ、3~5センチ程度の肝臓がんであれば、肝切除とほとんど変わらない治療成績が得られました。

 

 

マイクロ波凝固療法後の5年生存率

 

 

マイクロ波凝固壊死療法の治療成績

 

 

肝臓がんに対するマイクロ波凝固療法の治療成績は、5年生存率で50%を超えています。

一般的なカテーテル治療では20%以下ですので、2倍もしくは3倍長生きしてしていただけるチャンスが得られるということです。

体にメスを入れるため傷はできてしまいますが、治療成績が良いことがマイクロ波凝固療法の最大のメリットです。

 

肝臓がんでは、最初の治療がとても大事です。

最初の治療でがんをしっかりコントロールしなければ、肝機能も落ちますし、がんが肝臓内に飛ぶ可能性もあります。

体に対する侵襲(ダメージ)や痛みが少ない治療を望む気持ちはわかりますが、5年生存率の低い治療法を選んだら、その後、リカバリーすることが難しくなります。最初が肝心ですから、より確実な治療を選んでください。

 

 

肝臓がんは再発率が高い

 

 

現状、肝臓がんの再発を予防するための薬はありませんが、肝臓がんは再発の多いがんです。

再発した場合も、初回の治療と同様に、手術が可能なら手術を行い、手術が難しければ焼く――と、確実な治療法を選ぶことで、長期の生存につながります。

 

肝臓に1個でもがんができたということは、肝炎やアルコール、脂肪肝などで肝臓全体が傷んでいるということ。最初にがんができた部分以外も、がんができる時期にきているのです。

肝臓がんでは、1年で約3割、5年で約7割の人が、肝臓の他の場所に再発を起こします。この再発率の高さが、胃がんや大腸がんなどとは大きく違う点です。

 

ですから、肝臓がんは、1回目の治療で終わりではありません。残念ですが、そこから長い道のりがはじまります。

私が外来で診ている患者さんも、5年、10年のお付き合いになる方がほとんどです。

いかに納得して毎回の治療をがんばれるかが大事ですから、主治医と良い人間関係を築き、長い道のりを一緒に歩みながら、頑張っていただきたいと思います。