LECS(腹腔鏡・内視鏡合同手術):低侵襲術の新コンセプトとは

腹腔鏡下手術
内視鏡治療
昨今、多くの外科手術で「より患者さんに負担が少ない手術を」「より早い回復を」という目標が提示されるようになり、技術の進歩とともに低侵襲の手術が普及しつつあります。そのような情勢の中生まれた新しい手術コンセプトである「LECS」は低侵襲手術の1つであり、腹腔鏡と内視鏡の2つを用いる術式です。 今回は、LECSの具体的な適用疾患やメリット・デメリット、LECSでの治療が可能な国内施設の情報などについて、日本医科大学・消化管内科の後藤 修先生に教えていただきました。

 

LECS(腹腔鏡・内視鏡合同手術)とは?

 

 

LECS(Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery)「腹腔鏡・内視鏡合同手術」のことで、その名の通り、腹腔鏡と内視鏡を用いて局所切除を行う手術です。

LECSが行われる代表的な疾患としては、胃の粘膜下腫瘍や、内視鏡治療単独では切除が難しい早期胃がんなどが挙げられます。

 

早期胃がんの場合、内視鏡単独で胃の壁を切除してしまうと、開いた穴を内視鏡単独で閉じることが難しいと言われていますが、この部分を腹腔鏡からアプローチすることで、切除した箇所の閉鎖をしっかりと行えるようになります。

LECSは、内視鏡と腹腔鏡の双方の良い点を生かした、低侵襲手術です。

 

 

腹腔鏡・内視鏡合同手術

 

 

LECSのメリットとデメリット:低侵襲で温存範囲が拡大、ただし一定レベルの技術が必要

 

 

LECSのメリットとしては、必要最小限の範囲で病変を切除することが可能な点が挙げられます。

これによって、温存できる臓器の面積・体積が増えます。

 

例えば、通常の胃切除では大きな範囲で切除しなければなりません。

大きく切除することで、体重が減少したり、食事を回数を増やして少しずつ食べる必要が出たり、貧血が進行することもあります。

いずれの手術方式で行っても、術後の生活の質(QOL)が低下することは避けられませんが、LECSを行う場合は、可能な限りQOL低下を避けることが出来ます。

 

一方、LECSのデメリットは、腹腔鏡手術を行う医師と内視鏡を行う医師の双方が、ある程度手技に習熟している必要があるという点です。

手術時間が標準的な治療よりも長くなってしまうという点も挙げられます。

 

 

LECSの治療可能な施設:国内複数の先進施設で治療可能

 

 

LECSの治療可能な施設としては、コンセプトの立ち上げ当初から積極的にLECSを行なっていたような、LECSの先進施設が挙げられます。

がん研有明病院や東京大学医学部付属病院、慶應義塾大学病院、浜松医科大学医学部付属病院、日本医科大学付属病院、北里大学病院などの施設では、積極的にLECSを行なっています。

 

 

LECSにおけるチーム医療:内科医と外科医のチームワークが鍵に

 

 

LECSは、腹腔鏡と内視鏡を用いる手術方式であるため、複数の医療スタッフによるチームワークが重要となります。

 

まずは、腹腔鏡外科医が腹部周辺で腹腔鏡下手術の準備を行います。

同時に、頭の方では内視鏡医が待機します。

さらに、器械出しの看護師や内視鏡技師が加わることが多いです。

もちろん、麻酔科医の協力も必要です。

 

LECSのコンセプトが生まれて以降、内科医と外科医が密に連携をとって、「どのような治療を行うことが患者さんにとってのメリットになるのか」について、1人の患者さん・1つの症例に対してより活発に議論を行うようになりました。

施設によっては、内科・外科の合同カンファレンスという形で、定期的に集まって、個別の症例についてのディスカッションを行なっていることもあります。

 

 

LECSの普及率:日本では保険収載、中韓ヨーロッパでも注目

 

 

LECSの手技は、2014年に保険収載され、全国的に保険治療として普及しています。

腹腔鏡下手術と同時に内視鏡治療も得意とする施設で、積極的にLECSが導入されている現状です。

韓国や中国でもLECSは注目されており、部の先進施設では積極的に導入されています。

またヨーロッパでは、特に内視鏡治療が精力的に行われている施設では、LECSのコンセプトは「ハイブリット手術」の位置付けで注目されおり、一部の施設では臨床導入もされています。