NBI・BLIによる胃がんの拡大内視鏡診断とは?

内視鏡治療
拡大内視鏡診断
がんの検査方法は、近年目覚ましい進歩を遂げています。「よりはっきりと病変部が見える」「痛みが少ない」「短時間で終わる」など、患者さんへの負担を減らしながら、正確な診断が出来るような技術が日夜開発されているのです。 今回は、消化器内視鏡で主に利用される「NBI(Narrow band imaging)」と「BLI(Blue laser imaging)」による、胃がんの内視鏡検査などについて、京都府立医科大学付属病院・消化管内科の土肥 統先生に教えていただきました。

 

NBI・BLIについて:従来よりも腫瘍が見やすい内視鏡

 

 

NBI(Narrow band imaging)・BLI(Blue laser imaging)は「画像強調内視鏡」と呼ばれているものです。

 

 

NBIとは

 

 

従来の内視鏡検査では、ハロゲンランプやキセノンランプによる白色光での観察が一般的でしたが、NBI・BLIでは、粘膜の表面だけを可視化する波長を選別して光を当てることで観察します。

このようにすることで、表面にある腫瘍が非常に見えやすくなるというメリットがあり、また拡大観察をした時も、細い血管や表面の構造を詳しく観察できるようになります。

 

 

NBI拡大で診断した早期胃がん

 

 

NBI・BLIを用いた診察では、胃がんの90%以上が診断できると報告されています。

一般的にはがんの診断で用いることが多い内視鏡です。

 

 

NBIとBLIの違いとは?

 

 

BLIによる内視鏡検査では、レーザー光で短い波長の光を当てて観察します。

 

一方、NBIを用いる場合は、白色光の中から短い波長のものだけを切り取って用いるという違いがあります。

実際に病変部を観察する際には、2つの違いはほとんどありません。

 

 

BLI拡大とNBI拡大の見え方の違い

 

 

いずれも、拡大観察を併用することで、より正確にがんの診断ができる技術です。

 

 

NBI・BLIを用いた内視鏡検査における診断基準

 

 

現在、NBI・BLIを用いた診断のアルゴリズムが新たに提唱されています。

例えば日本内視鏡外科学会などから提唱されているMESDA-G(拡大内視鏡単純診断アルゴリズム)があります。

 

 

BLI拡大で診断した早期胃がん

 

 

このアルゴリズムでは、NBI・BLIを用いて拡大観察を行い、がんの可能性が疑われるような腫瘍があった際に、がんの疑いがある部分とその周辺に境界線(デマルケーションライン)があるかどうかをまず確認し、境界線が無ければがんではないと診断します。

境界線があった場合には次のステップとして、不整な血管や構造があるかどうかを調べ、不整構造が有った場合にがんと診断されます。

 

 

BLIで診断し得た微小胃がん

 

 

MESDA-Gは一般的にがんの診断に用いられるアルゴリズムです。

これらの内視鏡検査でがんが見つかった場合には、さらに次の治療法を選択するステップへと移行します。

 

 

NBI・BLIの医療用途

 

 

NBI・BLIは、それを用いた正確な診断を行うことで、まず内視鏡治療を行うのか、それとも手術を行うのか、またはそれ以外の治療法を選択するのか、ということを決めるための一つのツールとなります。

 

 

内視鏡治療の適応基準

 

 

内視鏡治療が可能であれば、がんの範囲を診断するためにもNBI・BLIは利用できます。

NBI・BLIは一般的に普及してきており、各メーカーのほとんどの内視鏡に搭載されている機能の1つです。

搭載機器を持った施設では通常利用されていると考えられます。

 

 

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