腹腔鏡手術のメリットと安全性、術後合併症について

結腸がんには、さまざまな治療法が適用されるようになってきています。 中でも腹腔鏡手術は侵襲の小ささや回復の早さにおいてメリットが大きく、主流として用いられています。 今回は、腹腔鏡手術、ロボット支援下手術のメリット・デメリット、結腸がん術後の合併症について、東京女子医科大学 下部消化管外科 山口茂樹先生にお話を伺いました。

 

腹腔鏡手術のメリット・安全性

 

 

腹腔鏡手術とはお腹にいくつか小さな穴をあけ、そこから細いカメラや手術器具を入れ、カメラが映し出す映像をモニターで見ながら行う手術です。

腹腔鏡手術は大きく腹部を切開する開腹手術と比べ低侵襲で、少ないダメージで手術を受けられるのが特徴です。

 

腹腔鏡手術には以下のような多数のメリットがあります。

・美容上、傷が目立たない・術後の痛みが少ない・早期退院、早期職場復帰が可能・腸管麻痺・閉塞の頻度が低くすぐに食事をとれるようになる・カメラで組織に近接し、肉眼より細かく観察できる・出血量が少ない・手術の様子はすべてカメラに映し出されているため録画できる

 

腹腔鏡手術

 

最近はさまざまな手術が腹腔鏡により行われており、直腸の低位前方切除・食道切除・結腸の右半切除・幽門側胃切除は腹腔鏡手術の割合がすでに50%を超えています。

 

しかし、腹腔鏡手術は施設により合併症の発生率が異なるという調査結果もあるため、施設選択の際しっかり情報収集をすることも重要です。

 

 

ロボット支援下手術の実施状況

 

 

ロボット支援下手術とは、ロボットアームに取り付けた手術器具とカメラを、連動している術野の外にある機械で術者が遠隔操作して行う手術のことです。

保険適用となる疾患・手術の範囲が広がり、現在手術件数がうなぎ上りに増加している状況です。

 

ロボット支援下手術では、術者がまるで自分の手元で手術しているかのように、手術器具を手首や指と同じように自由な角度に曲げることができます。

手ブレがなく、繊細で精度の高い操作が可能です。

 

一方、ロボットを介して手術器具を操作しているため、術者の手には抵抗や圧迫などの感触がない点がデメリットで、過去に手術器具が知らぬ間に非常に強い圧力で臓器を損傷させたケースも報告されています。

 

 

術後合併症について

 

 

結腸がん手術の術後合併症の中で多いのは、縫合不全腸閉塞創感染です。

 

縫合不全は、腫瘍を切除した後の腸のつなぎ目が破綻してしまう重度の合併症で、便が腹腔内にこぼれてくるため緊急で再手術となったり、一時的に人工肛門を造設したりする場合があります。

日本における結腸がんの術後合併症の頻度としては非常に少なく、約2%以下といわれています。

 

腸閉塞とは、術後に胃腸の運動が抑制され、腸管が正常に動かなくなってしまう状態のことです。

腹部膨満嘔吐排ガス排便の停止といった症状が現れますが、開腹手術に比べ腹腔鏡手術では腸閉塞が起きる頻度は少なくなっています。

 

血栓症も頻度の少ない合併症ではありますが、起きると非常に重症化するため注意が必要で、既往のある方は血栓をサラサラにする薬剤を用いて発症を予防することになります。

 

また、一般的に結腸がんは後遺症が非常に少ないと言われており、特に上行結腸や横行結腸の摘出では後遺症はほぼ無く、S状結腸切除後に排便回数が少し増える程度です。

それでも直腸手術に比べると排便障害は少なく、排尿・性機能障害も結腸の手術では少ないと言われています。

 

 

 

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