術後は感染症予防のために手術当日に抗生剤、その後も4日目くらいまで水分・電解質補充や薬剤投与経路確保のため点滴が投与されます。
食事再開は早期に行われ、腸の動きを見ながら2~3日目からお粥とおかずが食べられるようになります。
出血や縫合不全の観察のために、術後に腹腔内にドレーンというチューブが挿入されることがありますが、これも術後4日前後には抜け、5日目にはすべての処置が終わり退院が可能になります。
術後7日目には、約90%の方が退院されます。
以前、山口先生が勤務されていた埼玉医科大学国際医療センターでは、症例数で全国上位に入る年間450例ほどの大腸切除を行い、在院日数も短く常に全国10位内に入る状況で管理されていました。
手術後の管理に慣れている施設では入院期間も短く、早期に社会生活に復帰できる傾向にあるのです。
大腸がんの10年生存率は、ステージⅠで93%、Ⅱで83%、Ⅲで69%というデータがあります。
再発後も、適切な治療を行って治る方も多数いるのです。
前項までにご紹介した手術だけではなく、抗がん剤治療も非常に有効なものが用いられるようになり、がんがすべて取り切れる方も珍しくなくなってきました。
現在の大腸の抗がん剤治療では、副作用症状も少なくなり、外来で行える場合も多くなっています。
自分の症状やライフスタイルに合わせ、主治医と相談して治療法を選択するのが良いでしょう。
日本人の2人に1人は、何らかのがんになる時代だと言われています。
健康的な生活に留意するだけではなく、定期的に検査を受けて早期発見・早期治療を受けられるようにしていきたいものです。
山口先生が現在所属している東京女子医科大学病院では、大腸がん切除症例を年間150例、そのうち結腸がんを100例程行っています。
腹腔鏡手術は、ほとんどすべての症例で実施されており、ロボット手術の採用も行われています。
山口先生は、手術は術者個人の経験値が非常に大切であると話されています。
手術にやり直しはききません。
各術式に慣れた施設・医師による手術を受けていただくことがとても重要です。
現在はどの病院もセカンドオピニオンを行っており、それを拒否するような病院は一流の病院であるとは言えないため、しっかり考え情報収集を行ってから、手術を受ける病院を選択するようにしましょう。