胃がん検診の現況と進展:対策型検診と任意型検診

胃がん検診では経口内視鏡の他に経鼻内視鏡が徐々に普及し進展してきています。 胃がん検診には対策型検診と任意型検診など様々な検査があり、がんが無いと正しく判断できる検査を選び受けることが重要です。 そこで、胃がん検診の種類、現況と進展について、宮城県対がん協会 がん検診センター 所長の加藤 勝章先生に教えていただきました。

 

対策型検診と任意型検診

 

 

がん検診には対策型検診任意型検診の2種類があります。

 

対策型検診は、健康増進法に基いて対象となる住民の死亡率減少を目的に、市町村が公費で実施しているがん検診です。

検査方法は、国が出しているガイドラインの評価に基づき厚生労働省が承認し、死亡率の減少効果が科学的に証明されたものが選択されています。

 

任意型検診は、一般的に人間ドックで行うがん検診であり、個人の疾病リスクを検証することを目的としています。

国が胃がん検診として推奨しているバリウム検査・X線検査・内視鏡検査以外に、人間ドックのがん検診では健診機関・医療機関が独自に設定した検査項目を実施している場合がありますが、必ずしも有効性が担保されているわけではありません。

そのため、ご自身が受ける検査の内容・科学的な評価・検査を受けることによる利益/不利益について説明等を受けてよく理解し、受診の判断をすることが大切です。

 

対策型検診、任意型検診のどちらも、がんを見つけるために受けることはもちろんですが、"がんが無い"と正しく判断するために精度(特異度)が高い検査を受けることが重要です。

本当はがんが無いのに「がんの疑いがある」と言われて不安になってしまったり、または不要な精密検査を受けなければならないことは受診者の不利益となるため、このような可能性が少ない検査を選んで受けることが大切です。

 

対策型検診と任意型検診

 

 

胃の内視鏡検査:経口内視鏡と経鼻内視鏡

 

 

胃の内視鏡検査は、従来から経口内視鏡が行われていましたが、経鼻内視鏡の技術が高まり徐々に普及してきています。

 

経鼻内視鏡は、鼻から細い内視鏡を挿入する検査です。

咽頭反射が出にくく、比較的身体の負担が少なく楽に受けられます。

ただし、内視鏡が細いため検査に時間がかかったり、鼻腔の狭い方は鼻血が出やすい等のデメリットがあります。

 

経口内視鏡は昔に比べればかなり細くなっているため、十分に麻酔をかけて実施すれば問題なく受けられる検査です。

 

 

胃がん検診の現況と進展

 

 

がん検診における一番の問題点は、精密検査の受診率が低いことです。

がん検診を受けて精密検査が必要だと言われたら、必ず精密検査を受けていただくことが重要です。

 

近い将来には、ご自身のリスクをきちんと評価して、自分に合った検診内容を適切な受診間隔で受けられるようになると想定されるため、各個人に合った正しいがんの予防対策を立てることが期待されます。

 

 

 

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