直腸がんの骨盤内再発

全摘手術
最初にがんができた場所、あるいはその近くに再びがんができることを「局所再発」と言います。大腸がん全体的では、局所再発の割合は少ないものの、直腸がんに限れば1割ほどの割合で局所再発が起こると言われています。 ここでは、直腸がんが骨盤内に再発した場合どのような治療を行うのか、名古屋大学医学部附属病院 消化器外科の上原圭介先生にうかがいました。

大腸がんの再発

大腸がんの再発で多いのは、肝臓や肺への転移です。

ほかの消化器がんの場合、遠隔転移したがんを根治的に治すことは難しいのですが、大腸がんの場合、肝臓や肺などに転移しても完全に切除してあげると3割から5割ほどの人は治ると言われています。

 

ただし、手術のみで完全に治すことが難しいのも事実なので、抗がん剤治療(化学療法)や放射線治療を組み合わせながら治る人を増やす工夫が、世界中でなされています。

 

そのほか、直腸がんの場合、骨盤内の局所再発が起こることもあります。

 

この直腸がんの骨盤内再発には大きく分けて2つのパターンがあります。

1つは、がんが進行していて骨盤内に再発してくるもの。

もう1つは、本来きちっと取り切れば治るはずのがんが、最初の手術でがん細胞を取り残したことによって再発してしまうものです。

 

直腸がんの手術では、骨盤のなかの非常に奥深く狭いところにある直腸を切除しなければいけません。

そのため、初回の手術が非常に難しいのです。

 

早期のがんであっても、がんが取り切れずに残ってしまう危険性が、ほかの大腸がん(結腸がん)に比べるとやはり高くなります。

 

直腸がんの骨盤内再発の治療

骨盤のなかは血管が複雑に走行していて出血しやすく、神経も多数通っています。

ですから、直腸がんの手術は難しいと言われるのですが、骨盤内再発を起こした直腸がんの手術は、さらに技術的に難しく、手術時間も長くなります。

 

また、手術後の機能障害のリスクもあります。

 

がんが直腸の壁を越えてほかの臓器に浸潤している場合、膀胱や前立腺、子宮といった骨盤内の臓器をすべてとらなければいけません。

場合によっては、骨まで一緒に切除しなければいけないこともあり、そうした大がかりな手術になると、人工肛門や人工膀胱、手術後の足の痛みなどを伴います。

 

こうしたお話をすると、なかには「もう十分に生きたから大変な手術はもういい」などとおっしゃる方もいますが、一方で「とにかく治したい、生きたい」とおっしゃる方もいます。

その後者の方にしっかりとした手術を行うと、4~5割ほどの方は治るのです。

 

人として一対一の付き合いができる医師を

「治したい、生きたい」とおっしゃる方のニーズに応えるには大がかりな手術が必要になることもあり、外科医として「できない」という選択肢は持ちたくないと思っています。

 

外科医は医師であると同時に手術をする職人です。手術という技術に関しては常に良いものをめざし、昨日よりも少しでもうまくできるよう、常に心がけています。

 

これから治療を受ける方は、どの病院で治療を受けるべきか、とても迷われるでしょう。

私は、病院の良し悪しよりも、どの医者に診てもらうかが大切だと思います。

 

医者も人間ですから、気心の合わない人もいるでしょう。

がまんをしながら言いたいことも言えずに治療を受けるのはお勧めできません。

 

人間として一対一で付き合えるような医師、話が納得できて「この人にだったら任せられる」と思える医師のところで治療を受けていただきたいと思います。