肺がん治療は、「4本柱」に

分子標的薬
免疫チェックポイント阻害剤
日本人の死因の第一位は依然として「がん」であり、なかでも最も多いのが「肺がん」です。 そのため、肺がんは「治りにくいがん(難治がん)」と言われてきましたが、最近では免疫チェックポイント阻害剤をはじめ、さまざまな薬が開発され、「昔に比べていい治療が増えています」と、京都大学医学部附属病院 呼吸器内科の金永学先生は言います。 肺がんの治療はどのように変わってきているのか、教えていただきました。

肺がんの症状

肺がんは肺の病気なので、咳や痰、息切れ、胸痛など、肺に関する症状がきっかけに見つかることが多いです。

そのほか、なんとなく食欲がない、ちょっと体重と減ってきたなど、肺とは直接的には関係のない症状をきっかけにレントゲンを撮って見つかることもあります。

 

とくに日本では肺がん検診や人間ドックが普及しているので、症状がないうちに画像検査で見つかるケースも多いです。

 

肺がんの検査

検査には、大きく2種類があります。

 

一つは、診断を確定させるための検査です。

「生検」と言い、画像検査でがんが疑われる部分から細胞を採ってきて、顕微鏡で見て、悪性かどうかの診断をつけます。さらに最近では、肺がんのなかにも複数のタイプがあることがわかっているので、顕微鏡で形を見たり、薬品で染めたりして、タイプ分けをしていきます。

 

もう一つは、「がんがどこまで広がっているのか」を確認するための検査です。

胸部や腹部はCTを撮り、頭部はMRIを撮り、さらにPET-CTで全身を調べて、転移があるかどうか、どこに転移しているのかを確認します。

 

免疫療法が4本目の柱に

がんの治療は、「手術」「放射線療法」「化学療法(抗がん剤治療)」の3本柱と言われますが、最近では、「免疫療法」も含めて4本柱と言われつつあります。

 

とくに肺がんにおいては、「免疫チェックポイント阻害剤」という新しいタイプの薬がどんどん登場しているのです。

 

体の免疫力を高めることでがんを攻撃し、縮小させようという免疫療法は、これまでにもいろいろな治療が試されてきましたが、残念ながらうまくいっていませんでした。

 

最近注目されている免疫チェックポイント阻害剤は、免疫力を直接高めるのではなく、免疫に対するブレーキを取り外してあげることで、本来持っている免疫力をしっかり発揮させるというものです。

 

最初に開発された免疫チェックポイント阻害剤が「ニボルマブ(製品名:オプジーボ)」で、すでに多くの肺がん患者さんに使われています。

現時点では、手術が行えないような進行した患者さんにしか使えませんが、今、さまざまな研究が進んでいるので、今後、使われ方は広がっていくでしょう。

 

年々新しい薬が登場している

ほんの10年、20年前に比べて、薬の種類は格段に増えています。

 

昔は、副作用の強い抗がん剤しかなく、それが効かなかったら終わり……というイメージでしたが、今は、治療に入る前に遺伝子や免疫療法の効きやすさを調べる検査を行い、その人に一番合った治療をしていこうという流れになっています。

 

そして、その薬が仮に効かなかったとしても、次の選択肢が用意されています。

 

また、年々新しい薬が開発されているので、今はない治療がほんの3、4年後に出てくる可能性もあります。だから、あきらめずにがんばって治療を受けていただければと思います。