ヘリコバクターピロリ感染症の検査:メリット・デメリットは?

感染すると胃炎や胃がんなどの原因となるヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)。 判定するための検査方法はいくつもあり、感染していた場合は除菌することが可能です。 今回は、ピロリ菌の検査について、大分大学 医学部 消化器内科学講座 教授の村上 和成先生にお話を伺いました。

 

ヘリコバクターピロリ感染症の検査法

 

 

ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)の検査には、内視鏡を使って組織を採取する「侵襲的な検査」と内視鏡を使わずに身体への負担が少ない「非侵襲的な検査」があります。

 

侵襲的検査には、内視鏡で採取した組織の調べ方によって3つの方法があります。

 

「迅速ウレアーゼ試験」はピロリ菌がもつウレアーゼ酵素を用いて調べる検査です。

検査後1〜2時間程度で判定できるため、迅速に調べるのに適している検査です。

しかし、PPIという種類の胃薬を服用している場合は、ウレアーゼ酵素が抑えられてしまうため偽陰性と判定されることがあります。

 

「鏡検法」は特殊な検査液で染色してピロリ菌の有無を確認します。

染色する技術や判定する専門家の能力が必要となる検査です。

 

「培養法」はピロリ菌を培養して確認します。

ピロリ菌を培養するのに少なくとも3〜4日から7日程度かかり、判定するまでに時間を要する検査です。

効きやすい抗菌薬を確かめる感受性試験には有用であり、スタンダードな検査です。

 

非侵襲的な検査には3つの方法があります。

 

「尿素呼気試験」は呼気を採取して、ピロリ菌のウレアーゼによって作られる二酸化炭素の量を調べます。

専用の検査機器が必要ですが、検査の精度が高く、患者さんの身体に負担がかからない主流の検査です。

 

「抗体測定」はピロリ菌に感染すると免疫反応によって作られる抗体を調べる検査です。

血液や尿・唾液などで調べられるため簡便性があり、スクリーニングに適しています。

 

「便中抗原測定」は便中にピロリ菌の抗原があるかどうかを調べる検査です。

精度の高い検査ですが、日本人は便検査に抵抗がある方が多く、現在は小児に対する二次検査としてよく用いられています。

 

 

ヘリコバクターピロリ感染症の除菌判定

 

 

ピロリ菌の除菌判定は、抗生物質による除菌治療を終えた後、4週間以上経過してから行います。

除菌判定方法には、尿素呼気試験や便中抗原検査が推奨されています。

 

抗体測定はピロリ菌の有無を直接みている訳ではないため、除菌判定にはあまり推奨されていません。

ただし、状態によって用いる場合もあります。

除菌治療をした後に抗体がすぐに下がる人もいれば、時間がかかってから下がる人もいるため、除菌治療後6ヶ月以上空けて調べることが重要です。

 

病院によって採用している検査が異なります。

除菌判定の時期やどの検査を受けるかについては、かかりつけの医師にご相談ください。

 

 

 

本サイトの利用にあたっては、当社の定める利用規約が適用されます。利用規約はこちらからご確認ください。