食道がんの外科治療について

胸腔鏡下手術
日本や中国など、アジア人の発症が多いことで知られる食道がん。食道がんはどのような症状を呈し、どのような検査が行われるのでしょうか。また、治療法にはどのようなものがあるのでしょうか。 大阪市立大学消化器外科講師の李栄柱先生に、主に食道がんの外科治療についてうかがいました。

食道がんの症状

 

 

食道がんにおいては、飲食の際の沁みる感じやつっかえ感食後の痛みなどの症状を呈します。

食道は、背骨の前に位置しておりますが、後ろ側(背中側)に存在しているため、背部痛などの症状が生じることも多いです。

 

 

食道の位置

 

 

食道がんの検査法

 

 

食道がんの検査としては、上部消化管内視鏡という検査が、最も確実性が高いと考えています。

 

上部消化管内視鏡検査

 

 

続く他の検査として、CT検査などが挙げられます。CT検査は、体全体を輪切りにして、食道病変の大きさを見る目的で用います。

そのため、早期の小さい病変は、CT検査では分からないことが多いです。

 

 

しかし、ある程度進行するとリンパ節転移しやすいというのが、食道がんの特徴です。

また、食道がんは、肝臓や肺に転移しやすいという特徴もあるため、他臓器浸潤の有無、遠隔転移や血行性転移の有無を判断するには、CT検査が最も適切で、簡単な検査であると考えています。

 

 

食道がんの転移

 

 

胸腔鏡下手術のメリット

 

 

食道がんの手術には、開胸・開腹手術と、小さな穴もしくは小さな切開のみで行う胸腔鏡下手術の2種類があります。

 

 

胸腔鏡下手術

 

 

胸腔鏡下手術は、傷跡が小さいだけでなく、肋間神経への影響が少なく、従来の開胸・開腹手術よりも、術後の痛みが大幅に低減されます。

胸腔鏡下手術のメリットとしては、胸壁破壊の軽減、呼吸機能低下の軽減、また、出血量の軽減が挙げられます。

患者さんにとっては、体の中で何を行っているかは分かりません。そのため、外側から見て傷が小さいことが、整容性を考える上でとても大切です。

 

 

低侵襲手術の進歩

 

 

手術で用いられる装置として、超音波凝固切開装置という装置があります。

 

超音波凝固切開装置

 

 

超音波の速度で振動し、組織を凝固させて病変を切除していく機械です。

超音波凝固切開装置は、アクティブブレードを秒間47000~55500回の間で振動させ、組織に摩擦熱を起こし、たんぱく質変性を引き起こします。

この変性を利用し、凝固を行うと同時に、摩擦の力で組織を切開していきます。

 

 

しかし、この装置においては、作動する側であるアクティブブレードが、鏡視下で映っていない場合があります。あるいは、何か手前の臓器などが被り、見えない場合があります。

その点で、腹腔鏡などの手術と、リスクに差があると考えております。

気管や大動脈などにアクティブブレードが接しているのに、気づかずに使ってしまうと、あっという間に、大切な組織に穴が開いてしまいます。

 

 

アクティブブレードの代わりとして、ベッセルシーラーという、組織を双極の電気メスで焼き、カットする機能も付いている機械があります。

現在は、とても素晴らしいベッセルシーラー(血管凝固器)、ベッセルシーリングシステムというものがあります。

 

 

ベッセルシーリングシステム(血管凝固器)

 

 

ベッセルシーリングシステムとは、温度を適切にコントロールしながら、7mmまでの血管等の組織を「ワンモーション」でシンプルかつスピーディーに、シール&カットできる機械です。この機械は、動かしたとしても、機械の棒が当たるだけで、大切な組織を傷つけることがありません。止血処置が必要な組織の切開には、そういう機械を用いています。

 

 

大切な部位は、電気メスなどで露出させ、そこを貫く血管を、上述のような凝固装置で処理していくのが、手術の原則となります。

 

 

患者さんへのメッセージ

 

食道がんのガイドラインや規約を作成している、日本食道学会のホームページを見ていただくことが、大切であると考えます。

また、最初の主治医の先生や、いつも診てもらっている先生方にも相談していただきたいです。

場合によっては、セカンドオピニオン(他の医師の意見を仰ぐこと)も使っていただき、ご自身にとって最適な治療法を選ぶことが、もっとも大切です。

 

 

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