大腸の内視鏡治療は、実はリスクの高い治療

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がんの治療のなかでも、内視鏡治療は「体にやさしい治療」と言われます。外科手術のように体にメスを入れる必要もなく、臓器を残したまま、がんを取り除くことができるからです。 ただし、がんができている臓器によって難易度は大きく異なるそうです。なかでも、「大腸がんの内視鏡治療は難易度が高い」と、埼玉医科大学国際医療センターの野中康一先生は指摘します。 大腸がんの内視鏡治療はなぜ難易度が高いのか、できるだけ安全に受けるには患者さんはどのような点に気をつければいいのか――、野中先生にうかがいました。

大腸の内視鏡治療は難易度が高い

 

大腸はとても薄い臓器なので、内視鏡治療(ESD:内視鏡的粘膜下層はく離術)は、他の臓器とは違った難しさがあります。

 

たとえば、胃の内視鏡治療であれば、一般的な症例に関しては多くの施設でできるようになっていて、どこ受け手も技術はほとんど変わらないでしょう。

ところが、大腸となると、難易度が急激に上がります。

 

大腸の内視鏡治療では、穿孔によって腹膜炎や縦隔炎などを起こしてしまうリスクがあるため、どこでも同じというわけにはいきません。

 

経験症例数の多い病院(ハイボリュームセンター)で受けたほうが、合併症が少なくなると思います。

 

 

腸に穴があくリスクが1割

 

大腸の内視鏡治療(ESD)で起こりやすい合併症が、「出血」と「穿孔」です。

 

大腸がんの穿孔
大腸がんの穿孔について

 

 

出血に関しては、内視鏡治療を再び行って止血すれば命にかかわることはほとんどありません。

胃のように、内視鏡治療後に吐血をして輸血が必要になることはほとんどないと思います。

 

問題は、穿孔です。

繰り返しになりますが、大腸は極めて薄い臓器なので、穿孔率が2%、もしくは研究結果によっては10%ほどあると報告されています。

 

それなりにリスクの高い治療法と言えるでしょう。

 

ただ、穿孔率は施設や術者によっても異なり、たとえば私自身の大腸の内視鏡治療における穿孔率は0.1%程度です。

 

 

大腸の内視鏡治療でとくに難易度が高いのは?

 

また、同じ「大腸がん」でも、がんの状態によって難易度も穿孔率も変わります。

たとえば、一般的に大きい大腸がんのほうが難易度が上がり、治療にかかる時間も長くなる傾向があります。

 

ただし、大きくても比較的簡単に取れる場合もありますし、逆に、小さくても肝彎曲(かんわんきょく)や脾彎曲(ひわんきょく)といった腸の曲がっている部分にあるがんは難易度が高くなります。

いずれにしても、大きい上に難しい部位にがんができている場合、難易度が上がり、3、4時間かかる内視鏡治療になります。

 

その場合、当院には腹腔鏡手術のスペシャリストがいるので、必ず内科と外科でカンファレンスを行い、「内視鏡治療で切除をめざすこと」と「短時間で安全に腹腔鏡手術をやること」のどちらが患者さんにとってメリットが大きいのかを話し合います。

 

大腸がんの治療のそれぞれの特徴
大腸がん治療それぞれの特徴

 

そして、場合によっては患者さん自身にも内科と外科の両方を受診していただき、それぞれのメリット・デメリットをお伝えしたうえで、選んでいただきます。

 

 

内視鏡治療を受ける前に

 

内視鏡治療は1回の勝負です。

 

今は、セカンドオピニオンは当たり前の時代ですから、別々の病院でも構いませんので、内科の治療(内視鏡治療)、外科の治療(外科手術)について、きちんとした施設でそれぞれ話を聞き、ご自身が納得して選び、治療を受けてください。

 

 

そのほうが患者さんにとって満足のいく医療になると思います。